2021年度は2020年度までに開発した全固体電池における正極/固体電解質の界面構造の分析のためのオペランドX線反射率法をLiCoO2/Li1+xAlxTi2-x(PO4)3(LATP)モデル界面に対して適用し、高電位保持状態における界面反応相の成長過程の分析を行なった。充電前の初期状態において得られたX線反射率プロファイルの解析の結果、LiCoO2/LATPモデル界面には数nmの膜厚の初期被膜が形成していることが明らかとなった。定電流により4.2 V (Li+/Li基準相当)到達まで充電した直後に得られたX線反射率プロファイルの解析の結果、LiCoO2/LATPモデル界面には充電前の初期被膜とは別に数nmの膜厚の界面反応層が形成していることが明らかとなった。さらに4.2 V (Li+/Li基準相当)の電圧下で12 h保持した際に得られたX線反射率プロファイルの解析の結果、4 h未満の電圧保持では、界面反応層の膜厚は緩やかに増加し、界面反応層/LATP界面のラフネスは数nmの範囲で山なりに変化していた。このことから、4 h未満の電圧保持では界面反応層は島状に成長していることが明らかとなった。4 hを超えての電圧保持では界面反応層の膜厚は反応時間の平方根に比例しながら数十nmまで急激に増加し、界面反応層/LATP界面のラフネスは変化していなかった。このことから、4 hを超えての電圧保持では反応層は拡散成長していることが明らかとなった。オペランドX線反射率法により、全固体電池正極/固体電解質の高電圧下における界面反応層の成長形態を明らかにし、低抵抗な正極/固体電解質界面を設計するための基礎的な知見を得ることに成功した。
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