公募研究
分極性のガラス状高分子とリチウム塩との界面で進行するイオンダイナミクスの学理を明らかにすることを目標に研究を推進した。前年度の成果も踏まえ、(1)有機材料の界面でのイオンダイナミクスの解明と(2)高伝導性を示す構造探索に重点を置いて実験実施と解析に取り組んだ。(1)メカニズム解明: 学術領域内での共同研究も活用しながら、電解質内でのカチオン・アニオン種の運動性を固体NMR等によって定量した。一連の解析の結果、塩単体では凍結状態にあった分子群の運動性が、分極性のガラス状高分子と相互作用することにより、著しく向上することが明らかになった。NMR、熱分析、X線回折、イオン伝導度解析(Vogel-Fulcher-Tammann model)等の多角的な解析を経て、電解質がアモルファス化することで自由体積が生じ、イオン輸送に資する分子の熱運動性が発現する描像を得ることに成功した。(2)構造探索: 分極構造を構成する分子群のHighest Occupied Molecular Orbital (HOMO)・Lowest Unoccupied Molecular Orbital(LUMO)準位等の制御により、界面状態やイオン伝導度を制御可能なことを明らかにした。また、電解質のナノ―マイクロスケールの構造がバルク物性を支配する知見も得られ、ボトムアップ型の構造形成の有効性を示すことができた。蓄電デバイスとして適用の検討も進め、全固体リチウム電池の電解質として1平方センチメートルあたり1 mA以上の大電流を発現可能ことを実験化学の立場から例示できた。一連の成果は査読付き学術誌や国内外の学会で発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
chemRxiv
巻: - ページ: -
10.26434/chemrxiv-2022-w1c6h
Macromolecular Rapid Communications
巻: 42 ページ: 2100374~2100374
10.1002/marc.202100374
ACS Omega
巻: 6 ページ: 14566~14574
10.1021/acsomega.1c01716
Chemistry Letters
巻: 50 ページ: 1375-1377
10.1246/cl.210124
日本神経回路学会誌
巻: 28 ページ: 20-47