研究領域 | 蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05303
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安藤 康伸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00715039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械学習 / 熱刺激脱分極電流 / EMアルゴリズム / 変分ベイズ推定 |
研究実績の概要 |
蓄電固体界面のイオン輸送ダイナミクスに関する測定では、複数のイオン輸送過程が共存するた めに計測データの解釈およびモデリングが困難となることが多い。蓄電固体界面研究における計 算・計測のシナジーを高めるためにも界面計測データ解析の高度化は極めて重要な課題である。本研究課題では、計測データに対する界面イオン輸送モデルのパラメータ 推定にデータ駆動的手法を適用することを本研究の主たる目的とする。特に蓄電固体界面の計測手法である、 (1) 熱刺激脱分極電流(TSDC: Thermally stimulated depolarization current) (2) 電気化学インピーダンス測定(EIS: Electrochemical Impedance Spectroscopy) に注目する。これまで解析が困難であった計測データの解釈性を高め、界面イオン輸送メカニズムの解明に貢献することを目指す。 R2年度は特に課題(1)に取り組んだ。その結果、従来の最小二乗法では困難であったフィッティングを、自動高速化することに成功した。本成果は今後プログラム公開や容易に使用可能なGUIの整備などを行なって公開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R2年度は、蓄電固体界面の計測手法である(1) 熱刺激脱分極電流(TSDC: Thermally stimulated depolarization current)に関するEMアルゴリズムの開発を主として実施した。当初計画では(2) 電気化学インピーダンス測定(EIS: Electrochemical Impedance Spectroscopy)についてもEMアルゴリズムを開発する予定であったが、基礎的な開発を終えた時点で計画では想定していなかった課題を発見したためにその解決を図る必要がある。また、R3年度に計画していた変分ベイズ法の実装についても、予備的な検討を行なったところ計算時間の短縮が難しいという困難を発見したため、新たなアイデアが必要となった。以上から、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
R3年度は、まずEISのEMアルゴリズムを完成させる。この際、ある種のスケーリングパラメータが必要になることがわかったため、この物理的意味付と正当性の評価を行う。また、変分ベイズ法に変わるモデル選択手法として、ラプラスの方法を用いたベイズ自由エネルギーの近似計算方法を提案する予定である。こちらについてはアイデアはR2年度に想定しているため、R3年度に実装を試み、その妥当性を評価する。
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