研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05308
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 選択的オートファジー |
研究実績の概要 |
選択的オートファジーは、細胞内の有害物質を取り除くプロセスである。このプロセスを自在に制御できるようになれば、疾患抑制への応用が期待される。しかしながら、選択的オートファジーの機構は、分解される基質や状況に応じて多様性があり、十分には理解されておらず、現状では自在制御には遠い状況にある。 研究代表者は、A群レンサ球菌の抗菌オートファジーの過程において、タンパク質S-グアニル化が基質認識因子として働くと提唱している。また、グアニン誘導体の構造活性相関研究によって優れた構造を見出し、AUTACと名付けたオートファジー基盤のデグレーダー技術を開発した。本研究では、領域内の研究者と意見交換しつつ、AUTACの作用機序を解析している。選択的オートファジーの過程ではオートファジー受容体が基質と隔離膜の間をテザリングする。AUTACの作用にはp62/SQSTM-1が必要である。しかしながら、AUTAC分子とp62が直接結合するわけではないことから、基質分解の選択性は理解できない。そこで、AUTAC分子に含まれるグアニン構造が、細胞内のいかなるタンパク質と結合しているか明らかにするために、ケミカルプローブを利用して検討し、結合タンパク質の候補を見いだした。このタンパク質をゲノム編集により欠損させたところ、AUTACの機能が減弱することが確認できた。オートファジーの過程には、100を超えるタンパク質が関与するが、今回同定されたタンパク質との関係は報告例がない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AUTACは選択的オートファジーを化合物制御する世界初の技術であり、その機能解析を計画通りに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き作用機序解析を進めると共に、化学合成を専門としない領域研究者の利用を念頭に汎用的なAUTAC分子の合成を計画している。
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