我々の研究グループは、出芽酵母において隔離膜(IM)をカップ状の構造体として可視化し、細胞内に蓄積させることのできるIM可視化法を開発した。我々はこのIM可視化法を使用して、小胞体を標識する脂溶性の色素R18が、オートファジー誘導に伴いIMに移行することを見いだした(Hirata et al. (2017) PLoS ONE)。R18は、オートファジー分野においてこれまで最大の謎であったIM膜の由来を解明できる有用なツールとなる可能性を秘めている。我々はこれらIM可視化法とR18染色法を駆使してIM伸展機構の本質的な理解に挑む。 本提案研究は、(1)R18を使用したIM膜の供給源の解明、(2)IM伸展における液胞-隔離膜接触部位の機能解析に注目して推進する。本年度はR18がIMへと輸送される経路の研究に進展があった。予備的実験から、R18は細胞膜に局在したのちに小胞体へと移行することが分かった。また、R18の細胞膜から小胞体への移行は、エンドサイトーシス経路非依存的かつATP依存的であることが示唆された。昨年度の研究で、我々は細胞外から供給されたR18が細胞膜の外葉から内葉に移行する際にフリッパーゼが関与していることを見いだした。現在その分子機構に注目して研究を進めている。液胞-隔離膜接触部位の研究においては、当該接触部位の形成にかかわる複数のオートファジー関連タンパク質を過剰発現する株を作成することに成功した。現在液胞-隔離膜接触部位の可視化に取り組んでいる。
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