分解の場であるリソソームの活性調節には、酸性加水分解酵素のみでなくリソソームに局在する膜タンパク質の品質管理も重要である。しかしながら、リソソーム膜タンパク質がどのように分解・代謝されているのか、その実体は驚くほど明らかにされていない。本研究では、ショウジョウバエ個体を用いた独自の解析系を利用し、リソソーム膜タンパク質がリソソーム内腔に取り込まれ分解される実体の解明を目指した。 RFPが酸性条件下でも消光しないという特性を利用することにより、ヒトの肝臓と脂肪の機能を併せ持つショウジョウバエ幼虫の脂肪体において、リソソーム膜タンパク質であるLampがリソソーム内で分解されていることを見出した。また、その分解は幼虫最後期の脂肪体ではほとんど見られないことが判明した。そのメカニズムの解析から、幼虫最後期に体内濃度が上昇する変態ホルモンであるエクダイソンにより、リソソーム活性およびリソソーム膜タンパク質の内腔への取り込みが抑えられていることが明らかになった。
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