研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05317
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丑丸 敬史 静岡大学, 理学部, 教授 (50262788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | TORC1 / オートファジー / マクロオートファジー / ミクロオートファジー / ヌクレオファジー / マクロヌクレオファジー / ミクロヌクレオファジー / ESCRT |
研究実績の概要 |
(1)分裂期因子のヌクレオファジー制御。出芽酵母では分裂期のrDNA凝縮はコンデンシンにより仲介されるがその制御にはCdc14フォスファターゼとトポイソメラーゼII (Topo II)が必要である。我々は、Cdc14とTopo IIが飢餓誘導性のrDNA凝縮とともにミクロヌクレオファジーに必要であることを明らかにした。さらにそれらの働きが栄養源飢餓中での生存に必要であることが示され、ミクロヌクレオファジーの飢餓下における重要性が示唆された (Mostofa et al. Cell Signal. 2020)。 (2)NVJによる飢餓誘導性ヌクレオファジー制御。出芽酵母の液胞膜と核膜の接触部NVJにおいて液胞内部へNVJが陥没してミクロヌクレオファジーが惹起される。NVJを欠くNVJ欠損株では、ミクロヌクレオファジーがキャンセルされるが、マクロオートファジーには影響しないことを明らかにした。さらに、液胞がNVJを介して核内部のrDNA凝縮を含めた核小体の動態を制御することを明らかにした (Tasnin et al. Biochem Biophys Res Commun. 2021)。 (3)Mdm1による飢餓誘導性ヌクレオファジー制御。我々はミクロヌクレオファジーによる核膜変形が飢餓誘導性のrDNA凝縮を引き起こすモデルを提唱していた。これを検証するため、NVJに局在するタンパク質を欠損した株を網羅的に調べた結果、Mdm1は飢餓誘導性のrDNA凝縮の起こさないのに対して、ミクロヌクレオファジー活性は阻害されなかった。しかし、核小体の移動も阻害された結果、核小体タンパク質の分解は低下した(Sharmin et al. Biochem Biophys Res Commun. 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、3ヵ月間研究室を閉鎖せざるを得なかったため、当初の研究計画が大幅に遅れた。加えて、地元に就活で帰った学生の中には自主隔離のため、研究室再開後も研究室に来られずに地元に半年間止まる学生もいた。さらに、コロナ禍のために国費留学生が1名入国できず、それによる人的損失も大きかった。それ以外は、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
ミクロオートファジー(ミクロオートファジーを含む)に必要な遺伝子・タンパク質のリストはできつつあるが、それらがどのようにミクロオートファジーを制御するのか、今年度はそれらのドメイン解析、リン酸化制御の有無に関して研究を深く掘り下げていくことを予定している。
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