現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのデータから、Atg32-Atg11相互作用の下流で働くコアAtgタンパク質のうち、Atg1の欠損細胞のみで、Atg32-Atg11相互作用が低下することがわかった。栄養飢餓で誘導される非選択的オートファジーにおいて、Atg1はAtg13, Atg17, Atg29, Atg31と共にオートファジー始動複合体を形成する。一方、Atg13, Atg17, Atg29, Atg31の欠損細胞では、Atg32-Atg11相互作用はわずかの低下しか見られなかった。なお、選択的オートファジーにおいて、Atg1はAtg11と相互作用することが知られている。すなわち、Atg1はAtg11を介して、Atg32-Atg11複合体と相互作用している可能性が考えられる。
マイトファジー誘導条件下において、Atg32はタンパク質キナーゼCK2によりリン酸化される。このリン酸化は、Atg32-Atg11相互作用に重要であることがわかっている。興味深いことに、Atg32のリン酸化バンドパターンはAtg1およびAtg11欠損変異体で部分的に消失することもわかった。
なお、生細胞内のAtg32-Atg11相互作用を定量解析するためのNanoBiT (32-11)系発現株の作成過程においては、内部標準としてAtg32に3コピーのGFPを付加し、NanoBiT (32-11)系発現株のマイトファジー 活性を野生株の80%まで改善させることにも成功した。このように、実験系を工夫することにより、マイトファジーの始動に重要なタンパク質間相互作用の定量評価系が確立でき、コアAtgタンパク質の関与も明らかになったことから、本研究計画は概ね順調に進展していると考えている。
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