公募研究
ユビキチンのN末端を介した特殊な連結様式により形成される「直鎖状ユビキチン鎖」は、NF-kBなどの炎症シグナルや細胞死を制御するユニークかつ希少なユビキチン鎖として、大きな注目を集めている。これまでの研究から、細胞内で直鎖状ユビキチン鎖を生成する唯一のE3複合体としてHOIL-1L、HOIP、SHARPINからなるLUBAC(linear ubiquitin chain assembly complex)が同定され、様々な疾患と関連することが報告されている。また近年では、Xenophagyなどの選択的オートファジー系にも寄与することが示されている。本年度は、申請者が独自に見出した、直鎖状ユビキチン鎖の代謝異常に伴い亢進する新規タンパク質分解機構に関して、化合物ライブラリーやsiRNAを用いたスクリーニングを行い、オートファジー関連因子の関与を見出した。また、独自のLUBAC活性阻害剤を利用して、マイトファジーや神経変性疾患との関連性について解析を進めた。さらに、OPTNとともに選択的オートファジーのアダプターとして知られるNDP52が、LUBACと結合しユビキチン結合能依存的にNF-kB活性化を抑制すること、NDP52- KO細胞ではNF-kB活性化やTNF-a誘導性のアポトーシスが亢進する一方、サルモネラ菌の分解(xenophagy)が減弱することを見出した(Front Immunol. 2021)。
2: おおむね順調に進展している
直鎖状ユビキチン鎖の代謝異常に伴い亢進する新規タンパク質分解機構に関して、計画していた化合物ライブラリーやsiRNAを用いたスクリーニングを完了し、オートファジー関連因子の関与を見出すことができた。また、マイトファジーや神経変性疾患との関連性を評価するためのアッセイ系の構築も順調に進み、ALSモデルマウスを用いた解析系も立ち上げることができた。さらに、NDP52に関する新たな知見を報告するなど(Front Immunol. 2021)、概ね順調に進展している。
直鎖状ユビキチン鎖の代謝異常に伴い亢進する新規タンパク質分解機構に関して、取得した候補因子のKO細胞を構築し、生化学解析、イメージング解析などによりその分子機序の解明を進める。また、マイトファジーや神経変性疾患との関連性に関して、ALSモデルマウスを利用してLUBAC阻害剤の効能を精査することで、直鎖状ユビキチン鎖の寄与を明らかにしていく。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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http://osaka-cu-1seika.umin.jp/