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2020 年度 実績報告書

リソソーム機能不全からの神経特異的モードのオートファジーの解明

公募研究

研究領域マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
研究課題/領域番号 20H05342
研究機関順天堂大学

研究代表者

谷田 以誠  順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (30296868)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードオートファジー / 神経セロイドリポフスチン症 / カテプシン / in-resin CLEM / 光線-電子線相関顕微鏡法
研究実績の概要

カテプシンDはリソソーム内主要タンパク質分解酵素であり、その遺伝子CTSD/ CLN10は神経セロイドリポフスチン症の原因遺伝子である。また神経セロイドリポフスチン症患者脳においてはαシヌクレインの蓄積が報告されており、神経セロイドリポフスチン症においてもプロテオイノパチーが神経変性に関与している可能性が考えられる。そこで、リソソーム機能不全をおこしているカテプシンD機能欠損モデルマウスの神経変性の発症を解析することにより、神経細胞特異的で神経変性に関わるモードのオートファジーが明らかにできるのではないかと考え、リソソーム機能低下から、神経変性に着目することで神経特異的に神経細胞維持に重要なモードのオートファジーを見出すことを目的としている。脳特異的CtsDノックアウトマウスについては、ファーストレポートを投稿準備中である。脳特異的CtsDノックアウトマウスについて、神経セロイドリポフスチン症に関わる表現型の他に、注目すべきタンパク質候補がいくつかピックアップされてきたので、それに関して、脳特異的CtsDノックアウトマウスの生化学的・免疫組織学的解析をおこなっている。また、加齢に伴う神経変性とCtsDノックアウトマウス脳の神経変性との関連性を見極めるために、老化マウス脳の試料をサンプリング中である。また培養細胞を用いて、カテプシンDの影響を見るために、CtsD KO セルラインを作成しつつある。また、神経におけるオートファジーをモニターするトランスジェニックマウスについて論文発表した。また、形態解析技術についてブレークスルー技術開発ができたので、それについても論文発表した。その後、これら研究については、プレスリリリースし、種々のネットニュースで取り上げられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳特異的CtsDノックアウトマウスの組織学的解析は、思ったより順調に進んでいる。CtsD KO Cell linesについても順調に進んでいる。ただコロナウイルスによる緊急事態宣言の影響でマウスの飼育を縮小せざるを得なく、脳特異的CtsDノックアウトマウスの繁殖が遅延してしまい、プロテオミクス解析目的の個体数の維持確保に支障が出た。その後、今年になってようやく個体数が増えてきたため、プロテオミクス解析を推進する。プロテオミクス解析からは未知の因子をスクリーニングするのが主目的であるが、先行する免疫組織学的スクリーニングから、いくつかの候補因子が見いだされてきたので、そちらの方を優先的に遂行していく。

今後の研究の推進方策

神経特異的モードのオートファジーに関わる因子についての培養細胞レベルでの検討のために、CtsDノックアウトマウス脳で有意に増加しているタンパク質について、実際の神経変性に関わっているかを検討するため、培養細胞を用いて、細胞の生存率や神経細胞分化能を指標として評価する。神経芽細胞腫由来のSH-SY5YやNeuro2aをもとにノックアウト細胞を作成し神経細胞に分化誘導し、評価する予定である。可能であれば、これら細胞株でうまく評価ができそうに無いときは、CtsDノックアウトマウス脳より、初代神経培養細胞を単離して評価する事を検討する。またタモキシフェン誘導型脳神経細胞Creリコンビナーゼを活性化できるトランスジェニックマウスが利用できるかもしれないので、その点を検討する。
CtsDノックアウトマウス脳で有意に増加している候補タンパク質について、初代神経培養細胞、SH-SY5YやNeuro2aを用いて、神経細胞毒性があるか否かを検討し、神経細胞に対する毒性が上昇するか、あるいは、タンパク質間相互作用があるかどうかの検討をおこなう。
神経特異的モードのオートファジーに関わる因子についてのCtsDノックアウトマウスを用いた個体レベルでの評価については、週齢に分けて、脳試料を準備中であり、これをもちいて免疫組織学的に神経変性・細胞死を評価する。また組織のおけるin-resin CLEM法の確立を目指し、in-resin CLEMを用いて、蛍光像と電子顕微鏡像を相関させることにより、神経細胞、ミクログリア、アストロサイトなどの形態学的相関を明らかにしオートファジーに関わる形態異常を調べる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Structural basis of antiviral activity of caffeic acid against severe fever with thrombocytopenia syndrome virus2021

    • 著者名/発表者名
      Ogawa Motohiko、Shirasago Yoshitaka、Tanida Isei、Kakuta Soichiro、Uchiyama Yasuo、Shimojima Masayuki、Hanada Kentaro、Saijo Masayuki、Fukasawa Masayoshi
    • 雑誌名

      Journal of Infection and Chemotherapy

      巻: 27 ページ: 397~400

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2020.10.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Two-color in-resin CLEM of Epon-embedded cells using osmium resistant green and red fluorescent proteins2020

    • 著者名/発表者名
      Tanida Isei、Furuta Yoko、Yamaguchi Junji、Kakuta Soichiro、Oliva Trejo Juan Alejandro、Uchiyama Yasuo
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 21871

    • DOI

      10.1038/s41598-020-78879-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Visualization of cytoplasmic organelles via in-resin CLEM using an osmium-resistant far-red protein2020

    • 著者名/発表者名
      Tanida Isei、Kakuta Soichiro、Oliva Trejo Juan Alejandro、Uchiyama Yasuo
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 11314

    • DOI

      10.1038/s41598-020-68191-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Characterization of starvation-induced autophagy in cerebellar Purkinje cells of pHluorin-mKate2-human LC3B transgenic mice2020

    • 著者名/発表者名
      Oliva Trejo Juan Alejandro、Tanida Isei、Suzuki Chigure、Kakuta Soichiro、Tada Norihiro、Uchiyama Yasuo
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 9643

    • DOI

      10.1038/s41598-020-66370-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Blood group P1 antigen?bearing glycoproteins are functional but less efficient receptors of Shiga toxin than conventional glycolipid-based receptors2020

    • 著者名/発表者名
      Morimoto Kanta、Suzuki Noriko、Tanida Isei、Kakuta Soichiro、Furuta Yoko、Uchiyama Yasuo、Hanada Kentaro、Suzuki Yusuke、Yamaji Toshiyuki
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 295 ページ: 9490~9501

    • DOI

      10.1074/jbc.RA120.013926

  • [学会発表] Two-color in-resin CLEM of Epon-embedded cells2021

    • 著者名/発表者名
      Isei Tanida
    • 学会等名
      Collaborative Session 5 CLEM: the forefront of the method filling the gaps between light and electron microscopy, 第126回 日本解剖学会総会・全国学術集会・第98回 日本生理学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Recent advances of in-resin CLEM of Epon-embedded samples2021

    • 著者名/発表者名
      Isei Tanida
    • 学会等名
      Symposium 18 New Approach for Electron Beam-based Organelle-imaging Symposium, 第126回 日本解剖学会総会・全国学術集会・第98回 日本生理学会大会
  • [備考] 蛍光タンパク質を用いた高精度2色光線-電子相関顕微鏡法を開発

    • URL

      https://www.juntendo.ac.jp/news/20201223-06.html

  • [備考] 高精度の光線-電子相関顕微鏡法の開発に成功

    • URL

      https://www.juntendo.ac.jp/news/20200709-01.html

  • [備考] 脳神経細胞内オートファジーを可視化する動物モデルを開発

    • URL

      https://www.juntendo.ac.jp/news/20200615-02.html

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公開日: 2021-12-27  

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