シナプス形成因子であるCbln1は細胞外で機能するが、研究代表者はこれまでにCbln1は軸索のリソソームから神経活動によって細胞外に分泌されることを明らかにしており、また、その分泌機構にはシンタキシン4とSNAP29分子が関与していることを明らかにしている。SNAP29とシンタキシン4はオートファゴソームやオートリソソームからの分泌にも関わる分子であることから、分泌性のオートファジーと神経活動依存的なCbln1の分泌に関連があると考え、昨年度はCbln1とオートファジー関連分子との共局在を免疫染色法にて調べた。その結果、Cbln1とLC3共局在することが判明した。また、小脳顆粒細胞の軸索において蛍光タンパク質を繋げたLC3とCbln1の一部は共に輸送されていることが判明した。さらに、mCherry-LC3と共局在するCbln1-SEPが神経活動依存的な分泌を示すことが判明した。これらの結果から、分泌性のオートファジーと神経活動依存的なCbln1の分泌に関連があることが推察された。2021年度はオートファゴソームとリソソームとの融合に関わるシンタキシン17のドミナントネガティブ(DN)変異体を用いてCbln1分泌が阻害されるかを調べた。その結果、シンタキシン17のDN変異体がCbln1の分泌を阻害することが明らかとなった。また、軸索においてCbln1とシンタキシン17の共局在しているが明らかとなった。これらの結果からシンタキシン17がオートファゴソームとリソソームの融合だけではなく軸索においてはCbln1の分泌にも関わっていることが推察された。
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