研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05349
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
竹松 弘 藤田医科大学, 医療科学部, 教授 (80324680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オートファジー / 選択的オートファジー / ESCRT / プロテインキナーゼ / 栄養源シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
本研究では、翻訳を制御するプロテインキナーゼYpk1を基質とする選択的オートファジー分解についての知見を深めるべく、研究を進めている。Ypk1はチッ素源飢餓に応答し、分解されるが、その分解にはATGコア因子の多くが必要であるため、オートファジー分解を起こしている事が考えられる。一方で、Ypk1の分解は2時間程度でおこってしまうため、一般的なマクロオートファジーよりそのタイムコースが早い。また、通常のマクロオートファジーでは必要でない、ESCRT(endosomal sorting complex required for targeting)が必要とされるため、特異的な分解経路を全体として構成していることが考えられる。その分子機構を明らかにするためには、選択的オートファジー分解に必要とされる積荷受容体を同定する事が直接的であると考えられる。そこで、選択的オートファジー分解の積荷受容体とされるATG19/CVT19を初め、様々な遺伝子欠損細胞を用いて、Ypk1のチッ素源飢餓時の分解について検証した。 その結果、ATG19はYpk1 の分解には必要とされないことが明らかとなり、ATG19とは異なる認識機構を利用していることが明らかになった。また、ATGコア因子でも、必要とされない因子が同定できた。興味深いことに、mitophagyに関わるとされるATG32の欠損でも、一部であるが、Ypk1の分解が抑制された。このことから、Ypk1はやはり、今まで報告されていない経路でオートファゴソームに送られている事が考えられた。この分子機構を明らかとするため、TAPタグを用いた、タンパク複合体精製を考えており、これに必要である、Ypk1-GFP-TAPコンストラクトを作製、その発現・分解を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ypk1の分解に必要な積荷受容体に関しての検証を行ったが、今までに知られている、ATG19/CVT19の関与が否定された。また、その他のCVT(cytosola to vacuole transport)経路因子も関わっておらず、CVT経路が栄養源シグナルとは関係なく、恒常的であるとの知見からも、他の経路を探索するべきであることが明らかになった。この結果を受けて、未知の分子でも同定できる研究系で、さらなる解析の準備を進めており、それも一定の進展を見せているため、概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
未知の分子を同定すると共に、タンパク室を直接に介さずに、オートファゴソームに送られる可能性も考え、Ypk1がN-末端配列を利用して、相分離をおこしているかについても新たに検討することで、確実に何らかの結論に達することが出来るように留意する。また、TAPタグにより、現在想定しているYpk1分解複合体の同定に向けて全力を注ぐ。
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