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2020 年度 実績報告書

損傷葉緑体を除去するミクロオートファジーの作動機構

公募研究

研究領域マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
研究課題/領域番号 20H05352
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

中村 咲耶  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 訪問研究員 (20845151)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードクロロファジー / 葉緑体 / ミクロオートファジー / 光障害 / シロイヌナズナ
研究実績の概要

本計画では、損傷葉緑体を除去する選択的ミクロオートファジー「ミクロクロロファジー」作動の仕組みを解明し、マルチモードオートファジーの一経路として確立することを目指す。特に、ミクロクロロファジーの作動機構として、生体膜ダイナミクスと、関連遺伝子の機能、の2点に焦点を当てた解析を行い、令和2年度は以下のような進展があった。
(1) 生体膜ダイナミクスのイメージング:オートファゴソームマーカーであるATG8と液胞膜の二重蛍光発現株の作出、整備に成功した。この系統を用いたタイムラプスイメージングを行い、損傷葉緑体上でATG8を含む構造体が伸長し、液胞膜と接している様子が観察された。
(2) コアATG遺伝子群の必須性調査:これまでに報告されているシロイヌナズナのコアATG遺伝子の欠損株について、オートファジー活性を評価するための各種蛍光タンパク質マーカー発現株を整備した。そして葉緑体オートファジーである部分分解経路とクロロファジーの活性評価を随時進めた。その結果、マクロオートファジーには必須とされるコアATG遺伝子のうち、ミクロクロロファジーの活性には重要ではないものがあることを見出した。さらに、これまでにシロイヌナズナで報告のないATG遺伝子欠損株について、ストックセンターより取り寄せたのち、遺伝子発現量解析によりATG遺伝子が欠損していることを確認した。
(3) クロロファジー機能関連遺伝子の機能解析:クロロファジー機能関連遺伝子の原因遺伝子候補である膜交通関連因子について、液胞膜およびATG8可視化系統をそれぞれ作出した。さらに、局在解析を行うため、各種単膜系オルガネラ (ゴルジ体、トランスゴルジネットワーク、Multi vesicular body) と候補遺伝子を蛍光タンパクで可視化した系統を作出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の項目 (1) については、ATG8と液胞膜の同時可視化に成功しており、今後さらにタイムラプスイメージング解析をかさねることで、損傷葉緑体を液胞膜で取り込む際の詳細な観察を行うことが出来る。項目 (2) については、既に整備されているコアATG欠損株について、プロセシング解析に供する蛍光タンパク質発現コンストラクトを導入した。報告の無いATG欠損株についても、欠損を確認した株で同様に遺伝子組換え植物を作出した。項目 (3) では、原因遺伝子の可視化および各種単膜系オルガネラとの局在解析用の植物を作出した。よって、本研究計画はおおむね順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本計画はおおむね順調に進展しており、大きな計画変更は行わずに進めていく。未知の遺伝子機能を評価する必要がある項目3の推進においては、得られた結果を慎重に考察しながら必要な解析を随時検討していながら進める。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mitophagy in plants2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Sakuya、Hagihara Shinya、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects

      巻: 1865 ページ: 129916~129916

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2021.129916

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 葉緑体オートファジーの研究展開:植物を超えた議論の発展を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      中村咲耶、泉正範
    • 雑誌名

      BSJ-Review

      巻: 12A ページ: 68~77

    • DOI

      10.24480/bsj-review.12a8.00201

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autophagy Contributes to the Quality Control of Leaf Mitochondria2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Sakuya、Hagihara Shinya、Otomo Kohei、Ishida Hiroyuki、Hidema Jun、Nemoto Tomomi、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 62 ページ: 229~247

    • DOI

      10.1093/pcp/pcaa162

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] RCB-mediated chlorophagy caused by oversupply of nitrogen suppresses phosphate-starvation stress in plants2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshitake Yushi、Nakamura Sakuya、Shinozaki Daiki、Izumi Masanori、Yoshimoto Kohki、Ohta Hiroyuki、Shimojima Mie
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 185 ページ: 318-330

    • DOI

      10.1093/plphys/kiaa030

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chlorophagy does not require PLANT U-BOX4-mediated ubiquitination2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Sakuya、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 16 ページ: 1861769~1861769

    • DOI

      10.1080/15592324.2020.1861769

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chloroplast Autophagy and Ubiquitination Combine to Manage Oxidative Damage and Starvation Responses2020

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi Yuta、Nakamura Sakuya、Woodson Jesse D.、Ishida Hiroyuki、Ling Qihua、Hidema Jun、Jarvis R. Paul、Hagihara Shinya、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 183 ページ: 1531~1544

    • DOI

      10.1104/pp.20.00237

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Development of potent inhibitors for strigolactone receptor DWARF 142020

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura Masahiko、Kim Sojung F.、Takise Ryosuke、Kusano Shuhei、Nakamura Sakuya、Izumi Masanori、Yagi Akiko、Itami Kenichiro、Hagihara Shinya
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 56 ページ: 14917~14919

    • DOI

      10.1039/D0CC01989E

    • 査読あり
  • [学会発表] Plant mitophagy contributes to the maintenance of mitochondrial population and quality in Arabidopsis leaves2021

    • 著者名/発表者名
      中村咲耶、萩原伸也、大友康平、石田宏幸、日出間純、根本知己、泉正範
    • 学会等名
      第62回 日本植物生理学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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