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2020 年度 実績報告書

哺乳類胚における全能性の制御に関わる亜鉛シグナルの機能解明

公募研究

研究領域全能性プログラム:デコーディングからデザインへ
研究課題/領域番号 20H05373
研究機関麻布大学

研究代表者

伊藤 潤哉  麻布大学, 獣医学部, 教授 (30454143)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード受精
研究実績の概要

予備実験としてマウス生殖細胞および初期胚に関するRNAsequence解析を行った.その結果,雄性生殖細胞では未分化精原幹細胞が分化する際に特異的にいくつかのZip遺伝子の発現量が,雌性生殖細胞では卵子特異的にいくつかのZip遺伝子の発現量が,それぞれ著しく上昇するという知見を得ている.そこで,亜鉛トランスポーターZip遺伝子の発現を免疫蛍光染色で確認した結果,雄性生殖細胞では精原細胞で,雌性生殖細胞では卵で発現が確認され,発生制御に関わるZip遺伝子を明らかにした.上記結果から,生殖細胞の発生を制御するZip遺伝子のうち少なくともいくつかのZip遺伝子を全身で欠損させたマウスは胚性致死となることが知られているため,Cre/LoxPシステムを用いた遺伝子欠損マウスを作製する.雄性生殖細胞特異的なZip遺伝子欠損マウスの作製では,始原生殖細胞の段階で組み換え酵素Creを発現可能なCreマウスを用い,精子特異的Zip遺伝子欠損マウスの作製に着手している.雌性生殖細胞特異的なZip遺伝子欠損マウスの作製では,卵特異的にCreを発現可能なCreマウスを用い,卵特異的Zip遺伝子欠損マウスを作製したところ,卵内亜鉛イオン量の減少,妊孕性の著しい低下がみられ,またそれらの卵を体外受精に用いると受精率は変わらないが胚盤胞への発生率の著しい低下がみられた.この結果から,Zip遺伝子が胚発生に重要であること,またZip遺伝子同士で機能を補完した可能性を考え,卵特異的な他のZip遺伝子欠損マウスの作製にも着手している.このことから卵および胚における亜鉛シグナルは全能性に重要な役割を持つことが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子改変マウスを用いることで亜鉛トランスポーターを介した亜鉛シグナルが胚発生(全能性)の獲得に必須であることを既に見出していることから上記区分と評価した.

今後の研究の推進方策

性成熟した雄マウスの精巣組織を用い,Zip6およびZip7の発現量および局在をmRNAレベルで調べる.同様に,雌マウスの卵巣組織および卵を用い,Zip6およびZip10の発現を調べる.以上,雌雄の生殖細胞の発現制御に関わるZIP遺伝子を明らかにする.また,精子特異的なZip6あるいはZip7遺伝子欠損マウスを作製しており個体を獲得次第,それらの遺伝子欠損マウスを野生型雌マウスと交配させ,妊孕性を確認する.仮に,不妊または妊孕性の低下が確認された場合には,その表現型解析を行う.卵特異的Zip10欠損マウスの解析で,Zip6がZip10の機能を補完した,あるいは使用したマウスではZip10の機能を完全に制御できていない可能性が考えられたため,生殖細胞特異的Zip6遺伝子欠損マウスおよびZip10遺伝子欠損マウスを作製している.個体を獲得次第,遺伝子欠損マウスを野生型雄と交配させ,妊孕性を確認する.妊孕性の低下が確認された場合には,それぞれの卵特異的Zip欠損雌マウスから卵を回収し,体外受精を行い,亜鉛スパークの動態やその後の胚発生がどのように起こっているか対照区マウスと比較する.以上の実験により,生殖細胞におけるZIP遺伝子の機能を個体レベルで明らかにしていく.ZIPの下流分子を明らかにする目的で,ZIP遺伝子欠損マウスの生殖細胞を回収し,RNAsequence解析を行う.以上の実験から,胚発生を制御する亜鉛トランスポーター依存的な亜鉛シグナルを分子レベルで明らかにする.また得られた知見から,個体への高い発生能を有する哺乳類卵の作出法に応用する.本研究課題を遂行し,亜鉛シグナル依存的な哺乳類は発生メカニズムを分子レベルで解明する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マウス卵成熟時における亜鉛イオンの蓄積は,受精後の胚発生に重要である2020

    • 著者名/発表者名
      影山敦子,武谷千晶,須山あゆみ,松尾和裕,伊藤潤哉,柏崎直巳
    • 学会等名
      第38回日本受精着床学会総会・学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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