公募研究
生物が生命を維持するためには、染色体が安定に複製・分配される必要がある。真核生物における正確な染色体分配には、セントロメアと呼ばれる特殊領域が重要であり、セントロメアと紡錘体微小管との適切な結合が、正確な染色体分配に必須である。興味深いことに、多くの生物のセントロメアは、塩基配列による“ゲノム情報”では規定されずに、エピジェネティックな“非ゲノム情報”によって規定される。CENP-Aと呼ばれるセントロメアに特異的なヒストンがエピジェネティックな目印として働いていると考えられてはいるが、セントロメアを規定するための“非ゲノム情報”の実体については不明な点が多い。 本研究において、セントロメアが形成される際に必要な“非ゲノム情報”の実体の解明を目指す。具体的には、I) 配列に依存しないでセントロメアと相互作用するゲノム領域の特徴解明、II) ゲノム複製の前後で変化するセントロメアに特異的なクロマチン構造の実体解明を目指す。異なる領域にネオセントロメアを形成している株を数株用意して、3C-4C-seq解析ATAC-seq解析などのゲノム解析を行い、各ネオセントロメアと相互作用する領域の詳細なコンタクトマップをゲノムワイドで取得し、それをヒストン修飾のプロファイルなどと突き合わせて、細胞核内の3D配置の視点から抽出するとともに、今年度は、特に、セントロメアの規定に重要な働きを担うCENP-A取り込み機構の解明を行なった。その結果、CENP-AとそのシャペロンでHJURPの結合には、二つの結合モードがあること、またそのモードが、生物間で多様であることを証明できた。これは、クロマチン研究のみならず、進化研究として興味深い成果と言える。
2: おおむね順調に進展している
計画した実験は、順調に進むとともに、計画に関連した複数の論文発表を行えているため。
計画した実験を順調にこなしてゆく。ATAC-seq、 3C, 4C実験は、確実に行なっゆく予定である。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
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