研究領域 | 多様かつ堅牢な細胞形質を支える非ゲノム情報複製機構 |
研究課題/領域番号 |
20H05391
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池田 陽子 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (80467688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 植物 |
研究実績の概要 |
DNAメチル化は'非ゲノム情報'のうち唯一世代を超えて安定的に伝わることが証明されている修飾であり、クロマチンとの相互作用を介して遺伝子の発現制御に関わることが知られている。DNAメチル化の次世代への伝達機構については、動物と植物の間で違いがみられ、動物では生殖系列でDNAメチル化がリプログラミングされ、雌雄のゲノムの差が生じる一方、被子植物では減数分裂後、胚乳系列でのみDNAメチル化が解除され、卵及び精細胞ではDNAメチル化が維持される。そのため植物ではDNAメチル化の変化が次の世代に伝わりうるとされている。 そこで、植物特有のDNAメチル化維持機構がどのように進化してきたかを明らかにするため、本研究では、進化上、陸上植物の基部に位置するゼニゴケを用い解析を進めた。これまでに、我々の解析により、ゼニゴケにおけるDNAメチル化制御機構は被子植物と共通した特徴だけでなく、異なる制御の特徴を持つことを示唆する結果が得られている。本研究では特に、ゼニゴケの減数分裂前後におけるDNAメチル化の制御機構に焦点を当て、解析を行った。 今年度は、ゼニゴケのDNAメチル化の詳細な解析を進めるための育成環境や生殖器の誘導条件など、実験に必要な材料の準備を行った。環境が整い、サンプリングの技術等の条件が整い、次世代シーケンサを用いたゲノムワイドバイサルファイト解析を行う状況が整った。また、ゼニゴケにおいてDNAメチル化に関与する因子の変異体を作成し、詳細な機能解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスへの対応により、今年度の前半実験を行うことができない時期があったが、その後、シーケンスデータの解析等を精力的に進め、遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、ゼニゴケの生活環の中でDNAメチル化がゲノムワイドに変化することが報告されているが、その詳細や機構については不明な点が多く残されている。この点を明らかにするため、特にゼニゴケの減数分裂前後の時期にフォーカスを当て、DNAメチル化の詳細の解析を進める。ゼニゴケの育成環境や生殖器の誘導条件など、実験に必要な材料を得るための環境が整い、サンプリングの技術等の条件が整ったので、順次サンプリングを行い、次世代シーケンサを用いたゲノムワイドバイサルファイト解析によってDNAメチル化の状況を明らかにしていく。また、ゼニゴケにおいてDNAメチル化に関与する因子の変異体を作成し、詳細な機能解析を行うことで、減数分裂におけるDNAメチル化の消去・維持機構の詳細を検証する。
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