研究領域 | 細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生 |
研究課題/領域番号 |
20H05403
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
楢本 悟史 北海道大学, 理学研究院, 助教 (30612022)
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研究期間 (年度) |
2020-10-30 – 2022-03-31
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キーワード | イネ / 腋生メリステム / 枝メリステム / 花メリステム / TAW1 / FZP / ESR1 |
研究実績の概要 |
植物の花序分裂組織は、発生初期は枝メリステムとして無限成長性を示し、枝別れを繰り返し周期的につくりつづける。一方、発生が進むと花序分裂組織は、有限成長性をしめす花メリステムへ変調し、花器官を分化させその一生を終える。本研究では、無限成長性を維持する仕組みと、無限成長から有限成長へ移行するメカニズムの解明を目指し、イネを実験材料として研究を行っている。申請者はこれまでに、イネの花芽分裂組織の有限成長性への移行を阻害する転写因子TAW1を見出している。TAW1のCHIPseq解析などを行い、TAW1の下流で機能する因子を探索した結果、AP2型転写因子ESR1と、FZPを見出した。FZPについてはこれまでに、花メリステムへの移行を制御する遺伝子であることが報告されているのに対して、一方で、ESR1については、イネにおける機能は明らかになっていない。そこで、続いてESR1の機能解析を行うこととした。まず最初に、ChiP-PCRを行い、TAW1がESR1のプロモーター領域に結合することを確認した。つづいてゲノム編集によりノックアウト変異体を作成したところ、esr1変異体は致死性を示すことが明らかになった。一方で、taw1の優性変異背景では、esr1変異体は致死性を示さないことを見出した。以上の結果は、TAW1はESR1を制御し、植物の発生を制御することを強く示唆するものである。今後、さらなるESR1の解析を行うとともに、ESR1がどのようにして、枝メリステムの維持や変調に関わるのかを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度より、東北大学から北海道大学に異動しました。研究計画には、イネを用いた研究を計画していましたが、所属研究室にはそれらの育成環境が十分に整っておらず、その整備に多くの時間がさかれ、研究のスタートアップに時間がかかりました。また、コロナ禍になり、研究室の滞在時間も限られ、実験する時間が十分にとることができませんでした。
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今後の研究の推進方策 |
未だ、実験環境が十分に整えることができてはいないものの、最低限の実験環境は整った。そこで、本年度は、従来計画していいた実験を行う。技術補佐員のサポートを得て効率的な実験を行うことを心がけ、当初の研究計画の達成を目指す。
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