研究領域 | 細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生 |
研究課題/領域番号 |
20H05404
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭子 (大橋恭子) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90451830)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 形成層 / 細胞分裂 |
研究実績の概要 |
真正双子葉植物を中心とした多くの植物では、二次成長とよばれる横方向への成長が見られる。二次成長では、維管束内の形成層における細胞分裂が大きな役割を果たしている。形成層細胞は並層分裂を繰り返すことにより細胞を供給しつづけ、産出された細胞は次第に木部あるいは篩部の細胞へと分化していく。しかしながら、この形成層細胞の分裂と分化を制御する分子基盤の理解は十分ではない。そこで、本研究では、維管束形成層細胞を制御する分子基盤を解明することを目的とし研究を進めた。今年度はまず、形成層の細胞を形成する分子基盤を明らかにするために、形成層の鍵遺伝子の根における発現パターンを調べた。その結果、これらの遺伝子は根端付近の前形成層細胞から発現しており、形成層の細胞分裂が起きていない段階においても継続的に発現しているものが多いことがわかった。次に、形成層の細胞分裂促進の分子基盤を明らかにするために、鍵転写因子WOX4のターゲット遺伝子の単離を進めた。シロイヌナズナ培養細胞および植物個体において、WOX4およびWOX4-HAM4過剰発現体を作出した。今年度は培養細胞を用いてトランスクリプトーム解析を行ったが、現在までのところWOX4ターゲット遺伝子の単離には至っていない。また、維管束細胞の並層分裂制御における植物ホルモンの関与の検証も行った。その結果、ブラシノステロイドが根の維管束細胞における並層分裂制御に関わることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、形成層制御の鍵となる転写因子やシグナル因子についての理解を進めることができたが、形成層の細胞動態をモニターするマーカーラインの作出がうまくいかなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度作出したWOX4およびWOX4-HAM4過剰発現形質転換体を用いてそれらのターゲット遺伝子の解明に取り組む。次に、形成層の細胞分裂の周期性をイメージング解析により調べる。さらに、形成層細胞の並層分裂における植物ホルモンの作用を詳細に調べる。
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