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2020 年度 実績報告書

植物の細胞増殖・分化能を制御するRNA代謝周期の解明

公募研究

研究領域細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生
研究課題/領域番号 20H05405
研究機関東京大学

研究代表者

大谷 美沙都  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60435633)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードRNA代謝 / pre-mRNAスプライシング / RNA分解 / シュート再生 / 側根形態
研究実績の概要

本研究では、シュート再生過程をモデルとしたRNA 代謝周期とその変調の解明、およびRNA 代謝周期の変調を生み出す振動子の分子実体の解明を行う。これによって植物細胞の増殖・分化能を制御するRNA代謝周期の実像を描出し、植物発生・成長を支配する植物周期原理の理解の促進を目指している。2020年度は以下の成果を得た。
1) シュート再生過程をモデルとしたRNA代謝周期と変調の詳細解明
これまでの研究から、pre-mRNAスプライシングやリボソーム生合成、RNA品質管理(Non sense-mediated mRNA decay: NMD)に関する変異体が、強いシュート再生阻害を示すことが分かっていた。新規のシロイヌナズナ変異体解析の結果、mRNA分解異常変異体におけるシュート再生異常が確認された。さらにNMD不全変異体の解析を進め、芽生えを用いたロングリードシーケンス解析およびRNA-seq解析を行った。この結果、NMD不全変異体ではmRNA構造バリアント依存的な蓄積量異常が多く検出された。
2) RNA代謝周期の変調を生み出す振動子の分子実体の解明
シロイヌナズナ芽生えを細胞ストレス誘導剤で処理し、pre-mRNAスプライシング動態を調べたところ、プラスチド機能阻害剤がスプライシング制御を強く阻害することが分かった。さらに、プラスチド機能阻害剤処理による側根形態形成異常が、スプライシング異常変異体では緩和されることを見いだした。以上の結果は「プラスチドシグナルがスプライシング周期を変調させ、側根形態形成を制御している」という新たな仮説を導出する結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

RNAラベリング実験に必要な試薬調達に遅れが見られたため、一部実験に遅れが認められたが、その他の解析については着実は進められた。

今後の研究の推進方策

上記解析を引き続き推進するとともに、新生RNAラベリングによるmRNA半減期のゲノムワイド解析を行う。さらにRNA代謝周期の変調によって制御されるmRNA種の同定を進める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Plant-specific Dof transcription factors VASCULAR-RELATED DOF1 and VASCULAR-RELATED DOF2 regulate vascular cell differentiation and lignin biosynthesis in Arabidopsis2020

    • 著者名/発表者名
      Ramachandran V, Tobimatsu Y, Yamamura M, Sano R, Umezawa T, Demura T, Ohtani, M
    • 雑誌名

      Plant Molecular Biology

      巻: 104 ページ: 263-281

    • DOI

      10.1007/s11103-020-01040-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Isolation of dominant Arabidopsis seiv mutants defective in VND7-induced xylem vessel cell differentiation.2020

    • 著者名/発表者名
      15.Pawittra P, Suzuki T, Kawabe H, Takebayashi A, Demura T, Ohtani M
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 37 ページ: 311-318

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.20.0427a

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シロイヌナズナCCR4-NOT複合体のポリA鎖分解酵素はカルスからのシュート再生に働く2021

    • 著者名/発表者名
      荒江 星拓、今堀 莉子、鈴木 悠也、大谷 美沙都、千葉 由佳子
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] プラスチドシグナルによる側根形態制御にはpre-mRNAスプライシング制御が関与する2021

    • 著者名/発表者名
      高柳 なつ、高橋 洋和、大谷 美沙都
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] Importance of Nonsense-mediated mRNA Decay in Auxin Signaling during in vitro Organogenesis and Development in Plants2021

    • 著者名/発表者名
      Chiam Nyet-Cheng、藤村 朋世、佐野 亮輔、出村 拓、大谷 美沙都
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] シュート再生能獲得に働くポリ A 鎖分解酵素複合体AtCCR4-NOTの同定2020

    • 著者名/発表者名
      荒江 星拓、今堀 莉子、鈴木 悠也、大谷 美沙都、千葉 由佳子
    • 学会等名
      第84回日本植物学会年会
  • [学会発表] Roles for mRNA quality control in the organ regeneration of plants2020

    • 著者名/発表者名
      Ohtani M
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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