植物の二次肥大成長を担う維管束幹細胞は、常に形成層分裂組織内に維持され続けている。本研究では、維管束幹細胞の新規制御因子を探索するために維管束分化誘導系VISUALを活用した順遺伝学スクリーニングから、概日リズムの周期が短縮する変異体bss1が幹細胞分化が抑圧されるbes1変異体の表現型を回復することを見出した。しかしながら、概日リズムの周期を乱す既知の変異体は幹細胞分化に影響しなかったことから、概日リズムの短周期化・長周期化そのものは維管束幹細胞の分化を促進しないことが明らかとなった。そこでbss1変異における幹細胞分化促進の原因を明らかにするため、RNA-seq解析をおこなったところ、糖欠乏に関連する遺伝子の発現に大きな変化が見られた。実際に分化誘導系で糖の組成を変化させると幹細胞分化に大きな影響が認められたことから、概日周期による糖代謝調節が幹細胞制御に働く可能性が示唆された。 また幹細胞の発現振動を捉えることのできる発光顕微鏡を用いた定量的な1細胞運命イメージングの手法について、論文の投稿をおこなった。幹細胞関連遺伝子の発現オシレーションに関しては、作成したプロモーター:ルシフェラーゼの形質転換体を用いて引き続きタイムラプスイメージングをおこなっていく。
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