• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

再分化をもたらす変調を制御する遺伝子プライミングメカニズムの解明

公募研究

研究領域細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生
研究課題/領域番号 20H05425
研究機関東京理科大学

研究代表者

坂本 卓也  東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 講師 (40637691)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード再分化 / 遺伝子プライミング / クロマチン高次構造 / 転写イメージング
研究実績の概要

2020年度の研究を通じて以下のことを明らかにした。
(1)ヒストン脱メチル化酵素LDL3によるカルス培養期間中のヒストンH3K4me2の脱メチル化がプライミング現象に必要であることが分かっている。再生現象はカルスの一部の細胞で起こることから、LDL3発現細胞に着目したクロマチン構造解析を行うため、IntF2Aを用いた改良INTACT法によるLDL3発現細胞核を単離する系の確立を進めた。LDL3プロモーター制御下で発現させたNTFの核膜局在とビオチン化の検出まで進めることができた。
(2) 植物体での遺伝子の転写活性化状態のライブイメージング解析ツールとしてRNAポリメラーゼII (RNAPII)Ser2のリン酸化を認識するmintbodyおよびヒストンH3K4me3を認識するmintbodyの共同開発を行った。検証の結果、いずれのmintbodyも植物体内でそれぞれがターゲットとするタンパク質修飾を認識することを確認し、新規の転写活性化状態のライブイメージング解析ツールとしての利用可能であることを示した。
(3) 新規のシュート再生に重要なクロマチン構造制御遺伝子として、H3K4meをターゲットとするヒストンメチル化酵素を同定した。この酵素の機能抑制によって、カルス培養期間中からH3K4me2レベルが低下し、かつシュート再生時に発現上昇が見られなくなる遺伝子を探索したところ、LDL3がターゲットとするプライミング遺伝子が含まれていた。このことから、カルス培養期間中にヒストンメチル化酵素とLDL3が協調的に働いてH3K4me2を一定のレベルに保つことがプライミング現象に必要である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

転写活性化状態を可視化するmintbodyを用いたイメージング技術を確立し、INTACT法に用いる植物材料の構築も進んでおり、2年目の研究計画実施に向けた準備が整ってきているため。

今後の研究の推進方策

本年度は以下の研究を実施する。
(1) INTACT法確立の目処が立ったので、カルス培養期間中のLDL3発現細胞核を用いたクロマチン構造解析を進め、プライミング遺伝子群の転写スタンバイ状態やシュート誘導に応じた協調的な遺伝子発現をもたらすクロマチン構造の特徴を明らかにしていく。また、開発したmintbodyを用いて、再生過程における転写状態の時空間的変化を明らかにしていく。
(2) 新たに同定されたシュート再生に重要なヒストンメチル化酵素の解析を進め、プライミング現象における役割を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of Zurich(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      University of Zurich
  • [雑誌論文] Roles of BRAHMA and its interacting partners in plant chromatin remodeling2020

    • 著者名/発表者名
      S. Nishioka, T. Sakamoto, and S. Matsunaga
    • 雑誌名

      Cytologia

      巻: 85 ページ: 263-267

    • DOI

      10.1508/cytologia.85.263

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ヒストン修飾やRNAポリメラーゼII修飾のライブイメージングシステムの構築2021

    • 著者名/発表者名
      澁田未央、吉川真由、山岡珠子、坂本卓也、木村宏、松永幸大
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 植物の再生能力の獲得に関与するエピジェネティック制御因子の機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      三浦理奈、坂本卓也、澁田未央、大矢恵代、稲垣宗一、鈴木穣、角谷徹仁、松永幸大
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] γ線照射によるシュート再生能向上機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      東海林朋佳、坂本勇貴、鈴木孝征、坂本卓也、松永幸大
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] エピジェネティックプライミングによる再生制御2020

    • 著者名/発表者名
      松永幸大、澁田未央、松岡慈、三浦理奈、坂本卓也
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] RNAポリメラーゼIIセリン2リン酸化のライブイメージングシステムの構築2020

    • 著者名/発表者名
      澁田未央、吉川真由、山岡珠子、坂本卓也、木村宏、松永幸大
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi