光合成細菌の光合成反応中心(RC)は集光アンテナ複合体I(LH1)と超複合体をとっており、光エネルギーを高い効率で吸収して、電子伝達鎖を駆動し酸素非発生型の光合成の初発の反応を開始する。本研究ではLH1-RC超複合体を対象としX線自由電子レーザーを用いて時間分解シリアルフェムト秒結晶構造解析して励起後の構造解析を明らかにすることを目指し、LH1-RC超複合体の良質な微小結晶を作成することを第一の目標としている。 時間分解シリアルフェムト秒結晶構造解析に向けた、LH1-RC超複合体の良質な微小結晶を作成する条件を探索した。結晶の調製に細かく粉砕した結晶を用いてシーディングを行ったところ、安定に100マイクロメートルの大きさの結晶を得ることができた。結晶の析出時間はシーディングなしでは1週間以上かかったが、シーディングによって3日間程度に短縮した。微小結晶の回折分解能を放射光にてチェックした。その際、回折分解能が凍結条件の影響を受けやすいことが判明したので、沈殿剤の種類と濃度、溶液を交換する方法を検討した。その結果、3-A程度の分解能で回折する結晶を2割程度の頻度で得ることができた。引き続き結晶の調製方法を検討し、スケールを拡大してシリアルフェムト秒構造解析を行う予定である。
|