研究実績の概要 |
本研究では土壌細菌由来の銅含有アミン酸化酵素(AGAO)について,微結晶溶液と基質溶液の二液混合時分割シリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)を行い,反応時間軸に沿った様々な構造情報を得る.得られた知見により,これまで未解明であった,触媒過程の各段階における活性部位環境の最適化,およびそれに基づく反応促進機構の詳細を明らかにすることを目指す. 本年度は,前年度確立した測定条件に沿って,嫌気条件下における二液混合時分割SFXを実施した.試料であるAGAOは,大腸菌を宿主として発現し精製し,微結晶は,ミクロシーディング法とバッチ法を組み合わせることにより得た.リキットジェット法による微結晶液と基質溶液の二液混合SFX測定はSACLA BL2にて実施した. SFX測定について,本年度は,基質との混合後0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4秒の5セットのデータを取得した.得られたデータについてCrystfelを用いて指数付けおよび積分を行った.各測定条件とも50000 - 70000枚程度のイメージファイルに対しindexを付けることに成功した.上記の積分したデータを用いて,これまでに放射光を用いて決定した構造(3WA2)を用いて分子置換及び精密化を行い,補酵素TPQ及び,生成物であるフェニルアセトアルデヒドについてオミットマップを描き,反応中間体の同定を行ったところ,反応時間軸に沿った様々な構造変化を確認することができた.
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