研究実績の概要 |
手指巧緻運動は二種類の運動経路を動員する.反対側の運動皮質からコマンドを脊髄に送る直接経路,両側半球の皮質からコマンドを統合して脊髄に送る間接経路である.本研究課題では,直接経路の損傷で手指巧緻運動が障害された時,間接経路で機能代償できることに着目し,間接経路を活性化させる脳刺激法を開発する.
(1)間接経路活動の計測技術の開発:大脳―脳幹―脊髄を連結する間接経路の活動を評価する技術は確立されていない.大脳,脳幹,脊髄の活動を同時計測するMRI技術の開発を達成目標に掲げた. MRI撮像方法および解析方法を確立した(左図). この研究項目は完遂した.この成果は論文投稿した.
(2)脳刺激による間接経路活動の測定技術の開発:頭蓋上から直下の運動皮質に刺激を送ると,皮質を介して間接経路を興奮・抑制できる.刺激で誘発された活動を計測するため, 脳刺激/MRI計測一体型の実験系の開発を達成目標に掲げた.脳刺激をMRI撮像中に行うには技術的な調整が必要である. R2年度1月からその調整に開始した.年度末までに間接経路興奮時の計測を開発し,5-10名程度の予備データを得る予定である.
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