• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

細胞外環境とシナプスコネクトによる超適応機能―脊髄損傷後の超回復とAIトレースー

公募研究

研究領域身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解
研究課題/領域番号 20H05483
研究機関愛知医科大学

研究代表者

武内 恒成  愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経回路 / 再生医療 / 回路再編 / 脊髄損傷 / シナプスコネクター / 再生環境整備
研究実績の概要

神経回路損傷後の超適応の解明のため、既存の既存の脊髄損傷モデルマウス・ラットによる生理回復と機能改善をはるかに凌駕する機能回復系の構築を試みて、シナプスコネクトと再生阻害環境制御という2つのコンセプトの融合を図っている。さらに、運動機能回復の過程においてリハビリテーション効果を加えることで、神経損傷からの超適応機能の詳細を生理機能回復の詳細からも解析することを目的とする。そのためのAIによる運動機能回復をトレースするシステム構築を目指している。中間評価時点までに、シナプスコネクターによる神経回路回復への人為的介入という新しい手法で、脊髄損傷回復においてこれまで困難とされていた亜急性期での生理機能回復の可能性を示すことが出来た。さらに損傷後の再生阻害因子であるコンドロイチン硫酸(CS)発現を抑える核酸医薬候補のスクリーニングを進め、効果のあるアンチセンスオリゴ(ASO)を選定できた。CS発現を抑えるKOマウスと前段のシナプスコネクター併用ではなく、ともに薬剤を用いての超回復を新たに推進できる。現在これらを組合わせての回復モデルを作成するとともに、動物行動解析のためのDeepLabCutなどを駆使したAI運動解析を進展させている。
(本研究領域によって得られた成果)
シナプスコネクターによる損傷後回復が想定を超えた機能改善に繋がることと、我々の想定を超えた亜急性期にも効果があることを、国際共同研究としてScience誌に報告した。損傷後の初期に再生環境制御を、さらにその後の亜急性期にシナプスコネクトを作用させるという実際のヒト治療可能性を含めての超回復モデルが可能となったことは大きい。これらを踏まえて、当該新学術領域B02班との共同研究として損傷後慢性期でのAI利用による運動歩行解析が導入し、他A05-04班、A05-14班との基盤技術の新しい共同を組むことが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

中間評価時点までに、シナプスコネクターによって人為的に興奮性シナプス・神経回路接続を可能とする全く新しい手法で、脊髄損傷回復においてこれまで困難とされていた亜急性期での生理機能回復の可能性を示すことが出来たことは大きな進歩である。さらに慢性期での治療可能性を示唆する進捗を当初計画を込めて提示することが出来た。さらに損傷後の再生阻害因子であるコンドロイチン硫酸(CS)発現を抑える核酸医薬候補のスクリーニングを進め、効果のあるアンチセンスオリゴ(ASO)を選定できた。ともに薬剤を用いての超回復を狙えるようになり、さらには、慢性期・亜急性期での超適応をAIトレースで解析するという段階まで到達できたことは大きい。

今後の研究の推進方策

シナプスコネクターによっては亜急性期から慢性期にかけての脊髄損傷後治療での生理的機能回復をAIを駆使することによって解析を推進する。 さらにコンドロイチン硫酸発現抑制ASOによる損傷初期における再生環境整備での回復過程を追跡する。とくに損傷後後期、つまり亜急性期から慢性期での機能回復においてはAIによる運動機能解析は大きな意味を持つためそこに注力する。さらに亜急性期以降の回復を検討できる段階になることで、リハビリテーションによる超回復・超適応の解析を推進する。ここでもAIによる機能回復の詳細の追跡を、当該新学術領域研究班内での共同研究(上記概要に記載)を強く推し進めることによって解析を加速化することを計画する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [国際共同研究] オックスフォード大学/ケンブリッジ大学MRC(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      オックスフォード大学/ケンブリッジ大学MRC
  • [国際共同研究] DZNE 神経変性疾患センター(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      DZNE 神経変性疾患センター
  • [雑誌論文] A synthetic synaptic organizer protein restores glutamatergic neuronal circuits2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Kunimichi、Sasakura Hiroyuki、et.al.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 369 ページ: 4853~

    • DOI

      10.1126/science.abb4853

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Chondroitin sulfate N-acetylgalactosyltransferase-1 knockout shows milder phenotype in experimental autoimmune encephalomyelitis than in wild type2020

    • 著者名/発表者名
      Inada Rino、Miyamoto Katsuichi、Tanaka Noriko、Moriguchi Kota、Kadomatsu Kenji、Takeuchi Kosei、Igarashi Michihiro、Kusunoki Susumu
    • 雑誌名

      Glycobiology

      巻: 31 ページ: 260~265

    • DOI

      10.1093/glycob/cwaa072

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Isozyme-Specific Role of SAD-A in Neuronal Migration During Development of Cerebral Cortex2020

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Keiko、Niida Hiroyuki、Tabata Hidenori、Ito Tsuyoshi、Hori Yuki、Hattori Madoka、Johmura Yoshikazu、Yamada Chisato、Ueda Takashi、Takeuchi Kosei、Yamada Kenichiro、Nagata Koh-ichi、Wakamatsu Nobuaki、Kishi Masashi、Pan Y Albert、Ugawa Shinya、Shimada Shoichi、Sanes Joshua R、Higashi Yujiro、Nakanishi Makoto
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex

      巻: 29 ページ: 3738~3751

    • DOI

      10.1093/cercor/bhy253

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脊髄損傷治療に向けての核酸医薬の応用展開 ‐神経再生阻害因子を如何に抑え、再生環境を制御するか‐2021

    • 著者名/発表者名
      武内恒成
    • 学会等名
      第20回 日本再生医療学会 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Rapid and robust recovery from spinal cord injury: cocktail treatment for re-wiring and against repulsion2020

    • 著者名/発表者名
      笹倉 寛之;, 鈴木 邦道, 池野 正史, 森岡 幸, 武内 由佳, 柚崎 通介, 武内 恒成
    • 学会等名
      第43回 日本神経科学大会
  • [学会発表] Development of hTERT-expanded cell-based regenerative medicine in neurological diseases and spinal cord injury2020

    • 著者名/発表者名
      池野 正史, 笹倉 寛之, 武内 恒成
    • 学会等名
      第43回 日本神経科学大会
  • [学会発表] シナプスコネクターCPTXと再生抑制因子コンドロイチン硫酸の操作による脊髄損傷回復2020

    • 著者名/発表者名
      笹倉 寛之, 鈴木 邦道, 池野 正史, 森岡 幸, 武内 由佳, 柚崎 通介, 武内 恒成
    • 学会等名
      第42回神経組織培養研究会
  • [学会発表] Development of hTERT-expanded primary cells and cell-based regenerative medicine2020

    • 著者名/発表者名
      池野 正史, 鈴木伸卓、笹倉 寛之, 武内 恒成
    • 学会等名
      第43回 日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 中枢神経損傷再生回復にむけたシナプスコネクターCPTXと反発因子の操作2020

    • 著者名/発表者名
      笹倉 寛之, 鈴木 邦道, 池野 正史, 森岡 幸, 武内 由佳, 柚崎 通介, 武内 恒成
    • 学会等名
      第43回 日本分子生物学会年会
  • [備考] 愛知医科大学医学部細胞生物学 ホームページ

    • URL

      https://www.take-lab.org/

  • [産業財産権] 特願2020-0028792020

    • 発明者名
      柚崎通介、鈴木邦道、Radu Aricesu,武内恒成
    • 権利者名
      柚崎通介、鈴木邦道、Radu Aricesu,武内恒成
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-002879
    • 外国

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi