研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05486
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
稲邑 哲也 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20361545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティー / 超適応 / 運動適応 / 認知科学 |
研究実績の概要 |
従来までの運動機能障害のリハビリテーションは,理学療法士が患者の身体機能の回復状況を推定しながらリハビリの方針を策定するという,主観や経験則の要素が多かった.本研究は,そのような理学療法士と患者のインタラクションの過程を最適化し,患者個人の状態に応じて最適なリハビリプログラムを提供するシステムの実現を目指す. しかしながら,新型コロナウイルス感染症のため,予定していたリハビリ施設等での被験者実験の実施が極めて困難な状況となった.そのため大幅に研究計画を変更し,実験対象を片マヒ患者から健常者に変更し,健常者で実験を実施できるよう,実験プロトコルの再設計を行った.対象とする状況を,自分自身の運動パターンが改変された運動をVR内で体験する状況とし,運動パターンを改変する頻度が被験者の固有受容感覚にどのような影響をおよぼすのか?という点を学術的問いとして再設定した.対象とする動作は卓上に手を置き,左右に手を振るような動作とし,その左右に振る動きの幅を実際の変動幅よりも大きく/小さくして可視化する状況を選択した. また,対面での被験者実験を実施する機会が極めて限られているため,実験機器を被験者の自宅に送付し,リモートで実験が可能なVRアプリケーションシステムを開発した.具体的にはOculus Quest 2 と呼ばれる計算機を必要としないスタンドアローン型のVRデバイスを活用し,指と手の動きの計測,動作改変,可視化までを通してVRデバイスのみで実施可能なシステムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症のため,予定していたリハビリ施設等での被験者実験の実施が極めて困難な状況となった.そのため大幅に研究計画を変更する必要が生じた.実験対象を片マヒ患者から健常者に変更し,健常者で実験を実施できるよう,実験プロトコルの再設計を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には構築したVR実験システムを用いて被験者実験を実施する.動作パターンの改変度合いを時系列ごとに変動させ,動作パターン変動が激しく起こる条件と,穏やかに起こる条件を比較する.この実験から視覚による刺激介入のプロセスが及ぼす影響を調査する.
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