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2020 年度 実績報告書

生命半金属セレンのダイナミクス制御機構の解明

公募研究

研究領域「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究
研究課題/領域番号 20H05491
研究機関東北大学

研究代表者

斎藤 芳郎  東北大学, 薬学研究科, 教授 (70357060)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードセレノプロテインP / ApoER2 / リポタンパク質受容体 / スプライシングバリアント / セレン / セレノシステイン
研究実績の概要

本研究では、生体内における生命半金属セレンの輸送機構、特に血漿タンパク質セレノプロテインPを介したダイナミックなセレン受け渡し機構を分子レベルで解明することを目的としている。本機構に関わる受容体や細胞内小胞輸送、セレン受け渡しに関連する分子の同定を生化学・分子生物学・細胞生物学的手法・プロテオーム解析・ICP-MS解析を駆使して実施する。
SeP受容体ApoER2のクローニング・アイソフォームの同定:SePが効率よくセレンを運搬するTリンパ球腫Jurkat細胞と、運搬効率の悪い横紋筋肉腫RD細胞において、両者で発現しているApoER2がSePの受容体として機能していることを、siRNA法にて確認した。各細胞で発現しているApoER2をクローニングした結果、Jurkat細胞で2種、RD細胞で5種の計7種類のApoER2アイソフォームの発現を認めた。各受容体を強制発現し、内在性のApoER2と比較し、各細胞で最も発現している受容体を同定した。JurkatおよびRD細胞で主に発現している受容体では、O-linked Sugarドメインの有無が異なり、同部位における糖鎖付加の違いがSePの取り込みに寄与している可能性が見いだされた。各受容体アイソフォームを各種細胞に発現し、SePの取り込み効率を評価し、セレン運搬作用におけるO-linked Sugarドメイン及びその糖鎖修飾の寄与について明らかにした。研究室にICP-MSを導入し、最大26元素を同時に測定するメタロミクス解析系を立ち上げた。セレノプロテインP KOマウスのメタロミクス解析を行い、セレン以外にも複数の元素が変化することを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍にあり対面での研究交流に大きな支障がでたため、共同研究の実施には大きな影響が見られた。一方、研究室における研究の進捗については、試薬の搬入や研究室の運営に大きな支障は無く、予定通り研究が進行し、受容体の機能解析へと進めた。そのため、(2)おおむね順調に進展している。と判断した。

今後の研究の推進方策

セレノプロテインPからの効率の良いセレン輸送システムについて、受容体の特性評価を終えた後、細胞特異性について検討するとともに、セレノプロテインP取り込みに用いられる小胞のキャラクタライズを進める。クローニングした受容体を、効率の良い細胞・悪い細胞に遺伝子導入し、その効率における細胞特性と小胞の種類を明らかにする。さらに、セレノプロテインPからセレンのみが外れる可能性について、セレノシステインを修飾する親電子物質の特性から検討する。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 7件) 図書 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] University of Copenhagen(デンマーク)

    • 国名
      デンマーク
    • 外国機関名
      University of Copenhagen
  • [国際共同研究] University of Modena and Reggio Emilia(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      University of Modena and Reggio Emilia
  • [雑誌論文] Lipid peroxidation products as a mediator of toxicity and adaptive response-The regulatory role of selenoprotein and vitamin E2021

    • 著者名/発表者名
      Saito Yoshiro
    • 雑誌名

      Archives of Biochemistry and Biophysics

      巻: 703 ページ: 108840~108840

    • DOI

      10.1016/j.abb.2021.108840

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Point mutation bias in SARS-CoV-2 variants results in increased ability to stimulate inflammatory responses2020

    • 著者名/発表者名
      Kosuge Masato、Furusawa-Nishii Emi、Ito Koyu、Saito Yoshiro、Ogasawara Kouetsu
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 17766

    • DOI

      10.1038/s41598-020-74843-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Janus Face of Antioxidative Selenoprotein P: Friend or Foe?2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshiro Saito
    • 学会等名
      Virtual 2021 Annual Meeting and ToxExpo
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 抗酸化因子セレノプロテインPの機能と疾患-両刃の剣としての必須微量元素セレン2021

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021大会
    • 招待講演
  • [学会発表] レドックス制御因子セレノプロテインPの発現制御と疾患2021

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      第1回レドックスR&D戦略委員会
    • 招待講演
  • [学会発表] セレノプロテインPを介した新規セレン輸送メカニズム2020

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      第73回 日本酸化ストレス学会/第20回日本NO学会 合同学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 生命半金属セレンのダイナミクス制御機構の解明2020

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      フォーラム2020衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 招待講演
  • [学会発表] セレンー硫黄代謝の接点およびクロストーク:生体内における識別とその制御2020

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      第47回 日本毒性学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 血漿セレン含有タンパク質セレノプロテインPを標的とした生活習慣病の予防・治療法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 学会等名
      第61回 日本生化学会中国・四国支部例会
    • 招待講演
  • [図書] 生命金属ダイナミクス~生体内における金属の挙動と制御~2021

    • 著者名/発表者名
      城 宜嗣、津本 浩平
    • 総ページ数
      564
    • 出版者
      (株)エヌ・ティー・エス
  • [図書] 食と健康を結ぶメディカルサイエンス2020

    • 著者名/発表者名
      内田 浩二
    • 総ページ数
      242
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-0387-9
  • [備考] 東北大学大学院薬学研究科 代謝制御薬学分野

    • URL

      http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~taisya/index.html

  • [産業財産権] セレノプロテインPを標的としたグリオブラストーマ治療薬2020

    • 発明者名
      斎藤芳郎、杉浦あかり、外山喬士
    • 権利者名
      斎藤芳郎、杉浦あかり、外山喬士
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-171561

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公開日: 2021-12-27  

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