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2020 年度 実績報告書

分子情報と位置情報を同時に得るフェロミクスプローブ群の開発

公募研究

研究領域「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究
研究課題/領域番号 20H05515
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

平山 祐  岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10600207)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード鉄イオン / イメージング / スクリーニング
研究実績の概要

人体にとって鉄は多すぎても少なすぎても不調をきたす。臨床現場では鉄の過剰・不足に対してはそれぞれキレート剤、鉄剤が処方されるものの、これらは量の調節が難しく、逆に鉄不足や鉄過剰をもたらすことがある。現在、鉄の取り込み・吸収あるいは排出を阻害・促進するような薬物は極めて少なく、鉄の恒常性を制御できる生理活性化合物の創出は、新たな鉄過剰・鉄不足に対する創薬候補化合物となりうる。そこで本研究では、フェロミクス研究の一環として、これまで我々が培ってきた二価鉄検出蛍光プローブに関する知見をもとに、高感度かつ簡便に細胞内の二価鉄濃度の変動を可視化できる蛍光プローブを開発し、これを使ったハイスループット細胞内二価鉄アッセイシステムにより、化合物ライブラリーのHTSを実施した。
鉄イオン蛍光プローブとしてRhoNox-2からRhoNox-8までを合成し、評価したところ、RhoNox-4が非常に高感度に二価鉄を検出できることが分かった。次に、本プローブを用い、二価鉄の変動を指標とした蛍光イメージングによるハイスループット(HT)アッセイシステムを構築した。本システムにより、東京大学創薬機構より供与いただいた化合物ライブラリー(3399化合物)についてHTSを実施し、細胞内の二価鉄濃度に変動をもたらす化合物の探索を行なった。3回のスクリーニングの結果、最終的にlomofunginがヒット化合物として得られた。
Lomofunginは、細胞内の二価鉄濃度を上昇させる働きを持ち、その作用機序について調査したところ、細胞内において鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンの分解を誘導していることが明らかになった。以上の結果はACS Sensors 2020, 5, 2950に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該研究計画は鉄を標的とした各種オミクス解析およびハイスループット解析を可能にする技術開発を実施するものである。初年度である当該年度においては鉄(II)イオン蛍光プローブの開発とハイスループットスクリーニング研究を達成し、目標としている項目の一つをすでに達成することができた。
また、オミクス解析に使用できるプローブに関しても化合物の合成と試験管内評価を完了しており、現在生体サンプルを用いた評価の過程にある。
イメージング解析とオミクス解析プローブの開発の2つの柱のうち、すでに一つを確立し、もう片方についても順調に進捗していることから、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後、現在進行中であるオミクス解析プローブを用いた鉄関連タンパク質のプロテオミクス解析を達成すべく、細胞、生体組織を使った実験を実施する。必要に応じてフィードバックし、分子設計を最適化し、有用なプローブ開発と、新しい鉄代謝関連タンパク質の発見につなげていく予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Asymmetric bismuth-rhodamines as an activatable fluorogenic photosensitizer2021

    • 著者名/発表者名
      Mukaimine Akari、Hirayama Tasuku、Nagasawa Hideko
    • 雑誌名

      Organic & Biomolecular Chemistry

      巻: 19 ページ: 3611~3619

    • DOI

      10.1039/D0OB02456B

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High-Throughput Screening for the Discovery of Iron Homeostasis Modulators Using an Extremely Sensitive Fluorescent Probe2020

    • 著者名/発表者名
      Hirayama Tasuku、Niwa Masato、Hirosawa Shusaku、Nagasawa Hideko
    • 雑誌名

      ACS Sensors

      巻: 5 ページ: 2950~2958

    • DOI

      10.1021/acssensors.0c01445

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A 19F-MRI probe for the detection of Fe(ii) ions in an aqueous system2020

    • 著者名/発表者名
      Kakiuchi Ryo、Hirayama Tasuku、Yanagisawa Daijiro、Tooyama Ikuo、Nagasawa Hideko
    • 雑誌名

      Organic & Biomolecular Chemistry

      巻: 18 ページ: 5843~5849

    • DOI

      10.1039/D0OB00903B

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞内二価鉄の変動を指標としたハイスループットスクリーニング2021

    • 著者名/発表者名
      平山 祐
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 新規ヘム選択的蛍光プローブの開発と応用2021

    • 著者名/発表者名
      河合 寛太、平山 祐、辻 美恵子、永澤 秀子
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] ビスマスローダミン光増感剤の選択的活性化法の確立2021

    • 著者名/発表者名
      向峯 あかり、平山 祐、辻 美恵子、永澤 秀子
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] 細胞内鉄制御化合物としてのLomofunginの全合成研究2021

    • 著者名/発表者名
      森本 壮汰朗、平山 祐、辻 美恵子、永澤 秀子
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] ケミカルシフトスイッチを利用した二価鉄検出19F-MRIプローブの開発2021

    • 著者名/発表者名
      垣内 亮、平山 祐、柳沢 大治郎、遠山 育夫、辻 美恵子、永澤 秀子
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] 二価鉄イオンを標的とした蛍光プローブとイメージング研究への応用2020

    • 著者名/発表者名
      平山 祐
    • 学会等名
      2020年度生理学研究所研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 鉄のケミカルバイオロジー研究に向けた高感度二価鉄蛍光プローブの開発と応用2020

    • 著者名/発表者名
      平山 祐
    • 学会等名
      生命金属に関する合同年会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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