精子幹細胞は特有のローカルな密度パターンを示し、集団として増殖しやすい時期と分化しやすい時期を周期的に繰り返しつつ、全体の数を一定に保つ。幹細胞は集団レベルで増殖と分化のバランスを保つと考えられるが、そのメカニズムは不明であり、幹細胞集団の恒常性維持機構は未だ謎に包まれている。
最近、精子幹細胞が細胞外の増殖因子を競合することで、幹細胞は集団レベルで増殖と分化のバランスを保つことを明らかにした。幹細胞は動きながら限られた量の増殖因子を奪い合う。幹細胞は増殖因子をとりこむと増殖し、とりこまないと分化する。増殖因子の量は限られており、これが律速要因となり、幹細胞数は一定量へと収束する。これまでの本研究において、幹細胞集団の周期的特異性を制御する因子を同定し、その発現分布と幹細胞の密度が相関することを見つけた。今後、同定した増殖因子を異所的に投与し、幹細胞が異所性に増加するかを解析する。
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