研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
20H05553
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50512787)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知能ロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究では,人間とロボットの対話に「重み」を与え,対話を継続させる手法として,対話ロボットの発するメッセージに同期して人間側に触知覚上の刺激を付与する技術を開発する.ユーザが把持して用いる小型ロボットの胴体内に運動可能なタングステン重りを配置し,その運動によってユーザに体重移動感覚を提示する. 初年度は3Dプリンタ等を用いて開発した小型ロボット試作機を用いて胴体内2D平面上を移動するタングステン重りの移動制御方法について研究を進めた.具体的にどのような動きがどういった印象をユーザに与えるかについては知見が無かったため,実験参加者に様々な重り移動パターンを試してもらい感じた印象を聴取するいわゆるelicitation studyから着手した. 18名の実験参加者に9種類の軌跡×2種類の速度×反復有無の計36パターンを体験してもらいアンケートおよびヒアリングにより印象聴取を行った.続いて,Russell & Mehrabianにより導入されたemotion-denoting termsとの対応を調べていく詳細分析を実施し,感情や意図を表現する単語と上述の重み動きパターンとの対応関係を得て,結果,重りの移動制御方法についての最初の設計指針と呼べる知見を得ることができた. これらの研究成果をHCI分野の最高峰国際会議であるACM CHIにフルペーパー投稿し採択・発表した.同時に人工知能学会全国大会にて国内でも口頭発表・会議論文出版を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中心目標であるロボット開発と重り移動制御の設計指針抽出について、当初研究計画に記していた初年度内容を超えて研究が進捗し、トップカンファレンスに論文発表するところまで行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に開発したプロトタイプの動作性能を3次元軌道へ拡張する.この新規プロトタイプは球体構造をとり様々な外装に対してインストール可能なプラグインモジュールとなる. 初年度の領域会議や班会議を通じて,他のモダリティとの関わり合いやユーザの認識や行動に与える影響調査が次なるテーマに挙がってきたため,コロナウイルス問題に関する社会情勢や感染症対策をふまえつつ,今年度はユーザ実験も実施する. 同時に,領域後半期間への研究課題応募に向けて領域内共同研究にも着手する.
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