研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
20H05569
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
渡邉 富夫 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (30167150)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / ヒューマンインタラクション / 対話エージェント / コミュニケーション / 身体的引き込み |
研究実績の概要 |
うなずきや身振りなどのコミュニケーション動作を発話音声から自動生成する身体引き込み技術を基盤に、リズム同調を損なうことなく言語的なインタラクションを行うシステム開発として、発話内単語の感情極性に基づき反応動作を行う身体引き込みキャラクタシステムや発話単語から抽出された画像が引き込み反応することで発話を促進するシステムを開発した。発話内単語の感情極性に基づき反応動作を行う身体引き込みキャラクタシステムを用いて、うなずき動作に対する音声相槌の提示タイミングおよびNegativeな発話が行われた際の音声相槌の提示タイミングを評価した結果、うなずき動作の開始から600ms程度までの音声遅延が許容され、またNegativeな発話に対する音声相槌のタイミングは900ms程度の遅延まで許容されることが示された。Negativeな発話に対するシステムの引き込み反応が負の感情を助長する問題をうなずき動作のタイミング提示で回避する手法を提案した。またシステムの自然な応答動作を生成するために、うなずきなどの身体的引き込み動作と音声による相槌を含め、発話の間、話速等に基づいて、適切な発話を促すシステムを構築している。さらに身体的インタラクションロボットInterRobotやSotaを用いて対話者の音声に対して発話応答するエージェント開発を進めており、これらのシステムを用いた評価実験により、発話促進効果など、話すと元気なる快情動によるインタラクション効果を検証するプラットフォームを整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、これまでの対面でのシステム開発・解析・評価が困難で、とくに評価実験に基づくシステム開発への展開が手探り状態であったが、オンラインを活用・併用してのシステム開発・評価を展開し、当初計画の遅れを挽回している状況である。研究実績の概要にも記したように、リズム同調を損なうことなく言語的なインタラクションを行うシステム開発とともに、うなずきなどの身体的引き込み動作と音声による相槌を含め、より円滑な応答動作を行うことができるシステムを開発し、自然な応答動作を生成するためのロボットの振る舞いやタイミングなど、インタラクション制御の仕組みを明らかにするシステム基盤ができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
オンライン及び対面でのシステム開発・解析・評価を再検討し、引き続き、音声駆動型身体引き込みキャラクタInterActorおよび身体的インタラクションロボットInterRobot、Sotaに対して雑談対話システムを組み込み、対話者の音声に対して発話応答するエージェントを開発展開する。令和2年度に音声対話ロボットSotaに対して発話音声からうなずきなどの身体的引き込み動作を自動生成するインタラクションモデルを導入し、対話者の音声に対して発話応答するシステムを開発しており、各種対話実験プラットフォームとして応用展開する。身体的引き込み技術を導入したシステムは、音声リズムから身体的引き込み動作を自動生成し表現してきたが、人から話しかけなければ対話が始まることがなく、システムからの発話誘導が課題である。エージェントの様々なデザインによるアピアランスの違いによる発話誘導効果、あるいは同調のための言語処理による発話開始等についてシステムを開発して検証する。さらに自然な応答動作を生成するために、接近動作や振る舞いの大きさなどにより対話者の発話前にキャラクタ動作や発話の間、話速等に基づき、適切な発話を促す発話支援システムを開発展開し、有効性を検証する。言語的なインタラクションを行うシステム開発として、発話内単語の感情極性に基づき各種タイミングで多様な反応動作を行う身体引き込みキャラクタシステムや発話単語から生成された画像やオブジェクトが引き込み反応することで発話を促進するシステム等を開発しており、話すと元気になる快情動によるインタラクション効果を検証する。研究室でのシステム開発・解析・評価によるモデル実験を繰り返すとともに、高齢者福祉施設等でのシステム評価を行い、実用的なインタラクションシステムを研究開発する。
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