前年度の成果を踏まえて、「外部の召喚を誘発する非論理的な発話」の効果をさらに実証するための実験を行った。 行った実験の一つは、対話を逐次的に理解するのではなく、時間軸をさかのぼって意味を付与しなおすことの効果を検証したものであり、このような発話をロボットに実装することの効果を実証した。さらに、オンライン上のバーチャル会議システムを使用して、「気まずい空気になった場合に、話の流れに関係のないことをあえて言うエージェント」の効果を調査し、このようなエージェントがユーザにポジティブな効果を与えることを実証した。また、「ユーザに常に同意するエージェント」と発話することによって、ユーザがリスクの高い選択をしやすくなることを実証した。また、「論理的な発話」という概念自体が多義的であることを示すため、同じ単語から、ユーザとは違うものを連想するエージェントとの対話の効果を検証した。 これらの研究成果は、我々が当初想定していた、「論理的に完全な発話のみではなく、非論理性を有する発話が、ユーザとエージェントとの関係構築に大きな役割を果たす」という仮説を支持するものである。そして、従来の「論理的な発話を求めないといけない」という研究の方向性に一石を投じるものである。 我々はこれらの研究成果を、国際会議でのポスター発表や、オープンアクセスの国際論文誌で発表した他、研究代表者は単著を上梓し、研究成果を広く世間にアピールしている。
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