研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)は対人相互作用の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害などを有する発達障害である。近年,ASD者は増加傾向にあり, 世界的な注目を集めている。そもそも対人が苦手なASD者にとって人が主体となる訓練には限界がある。ロボットはその振る舞いに規則性を認めること、被験者に合わせた細かい動きの調整が可能なこと、ASD者が熱中して最新の科学技術に関わること、及びASD者の具体的・視覚的な強さを考慮すれば、ロボットの科学技術がASD者に対しインタラクションを促す道具として有用であると期待されている。実際, ASD 者の対話訓練にロボットを利用する研究が数多く報告されている。その中でも,外観が人に似たアンドロイドを対話訓練に用いるアプローチが注目を集めている。本研究ではアンドロイドを用いた対話能力向上, 支援の取り組みとして,対話訓練をより効率化するため,各個人の状態に合わせてアンドロイドの振る舞いを調整できる話しやすいアンドロイドを開発するプロジェクトに取り組んだ。本プロジェクトでは,振る舞い方を自動で調整するアンドロイドの開発に当たって必要となる状態推定モデルの作成に注力した。振る舞いを調整できるアンドロイドの開発,及びマルチモーダルデータセンシングシステムを開発し,被験者実験を通してデータを収集し。振る舞い方のパターンとしては,まばたきの有無,待機動作の有無をそれぞれ組み合わせた全4条件で実験を行った。
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