Takashima et al. (2018) により Mortierella属菌 44種 234菌株のうち 16種 49菌株からBREが検出され、 Mortierella属菌の BREは 3つのグループに類別できることが報告されている。現在までに Mortierella属菌の BREを再導入した例は報告されていない。前年度までに培養に成功したBREである‘Mycoavidus sp. S2-EB (Group A)を用いてMortierella属菌への再導入試験を行った。LCA培地の中央に滅菌ストローでくりぬいた菌類を静置し、LCA培地の1点をストローでくりぬき、Mycoavidus sp. S2-EBをBCYE-α培地ごと、空いた培地の穴および穴の対角線上のLCA培地上に移植した。培養後6点から菌体を切り出し、LCA培地に植菌した。23℃で1週間培養後、菌体からDNAを抽出し、PCR反応後増幅産物を確認し、シーケンスを行い、NCBIのblastnを用いて相同性検索を行った。 その結果、M. humilis YI11 + Mycoavidus sp. S2-EBの6およびM. verticillata YTM181BF1 + Mycoavidus sp. S2-EBにおいて菌糸内に細菌様構造物が認められた。しかし両菌株は抗生物質処理によりGroup A のBREを除去して作出した菌株であり、菌糸内で認められた細菌様構造物が対峙培養により再導入されたことの確証には至っていない。一方、M. verticillata YTM181BF1 + Mycoavidus sp. S2-EBについては、元来M. verticillata YTM181に内生するBREはGroup Cに属しているが、対峙培養後に検出されたのは、再導入法に用いたGroup Aに属するBREであった。
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