前年度に行った当該領域のモデル圃場土壌からのアカントアメーバとの共培養による新規寄生・共生微生物・ウイルスのスクリーニングトライアルにおいて、圃場のような微生物叢に富むサンプルの場合、優勢に増殖する一部細菌のみがスクリーンされてくる事態を防ぐため、ポストコッホ微生物の物理的サイズが一般細菌等と比べて概して小さいことに基づいたフィルター濾過を利用する必要が認められた。本年度はポアサイズ0.1μmのフィルター濾液からのスクリーニングを実施したところ、ガンマプロテオバクテリア綱キサントモナス科の新種・新属細菌と期待される候補細菌4種を得ることができたが、これ以上の新規性を持つ微生物・ウイルスの単離には至っていない。
前年度までに単離した、放線菌門アシディミクロビウム綱に属する新属以上の新規性を期待される細菌2株について、MinIONによるロングリードシーケンシングを行い、うち1種について完全ゲノムを得ることができた。ゲノム長4.45Mbp、72.4%と高いGC含量を持つことがひとつの特徴と言うことができる。ANI(Avereage Nucleotide idientity)解析で最も高いスコアは78.2%であり、このことは本細菌が新属以上の新規性を有していることと矛盾しない。今後、残る1株の完全ゲノムの目指すとともに、新種の細菌として記載を目指し必要な解析を領域内共同研究として進めていきたい。
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