植物と共生する微生物は宿主の生育に重要であるにも関わらず、その種類や機能の多くは未解明である。本研究では、これらの問題を解決するために、最先端技術であるロングリードシークエンサーを用いたメタゲノム解析を行い、植物共生微生物叢の全ゲノム配列を明らかにすることを目的とする。これまでに、植物共生微生物叢の植物細胞からの分離や分解されていない長鎖DNAの抽出などの実験的手法、アセンブリなどの解析手法を確立した。アセンブリの結果、得られた16S rRNA遺伝子の約60%がデータベースとは異なる配列であることを明らかにしている。また、多数の1Mbp以上の大きなコンティグや環状化したコンティグなどが得られている。1Mbp以上のコンティグのうち6つは環状化しており、これらは完全長の染色体・メガプラスミドと推定される。また、その他にも、断片化はしているが難培養性細菌由来と思われる配列、既知の配列と比較して相同性が低い配列を持つコンティグも複数得られている。その他の環状化したコンティグのなかには、難培養性細菌の完全長ゲノム配列、プラスミド ・ファージと推定される新規配列、データベースには全く存在しない新規の配列など、ダークマターと呼ばれる細菌のゲノム配列を様々に明らかにしている。 また、自然環境中から単離した多種多様な植物共生微生物のゲノム解析も積極的に行い、微生物の機能や生態を理解するための情報基盤の構築を進めている。
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