情報爆発時代のソフトウェアは、質・量とも爆発的に大きくなる情報を有効に活用するため、それとおなじくらい爆発的に拡大する計算・通信・記憶資源の多様性に、柔軟かつロバストに適応する能力を備えなければならない。このような適応能力(以下総じて「自動チューニング機能」と呼ぶ)は、一般に情報収集→推定→最適化→実行制御という流れで実現される。本研究では自動チューニングの数理の普遍的構造を明らかにし、ロバストな自動チューニング機構の数理的基盤を構築することを目的とする。連携研究者として、東京大学大学院情報理工学系研究科教授竹村彰通、同室田一雄、神戸大学大学院システム情報学研究科教授山本有作、株式会社日立製作所中央研究所主任研究員直野健、電気通信大学情報理工学部准教授今村俊幸、東京大学情報基盤センター特任准教授片桐孝洋を迎えて研究を推進した。 平成22年度では、オフライン自動チューニング、並列自動チューニングの数理手法を開発するとともに、これまでの知見を総合し、自動チューニング数理モデル化とソフトウェア構築の方法論を4DACとしてまとめ、ATMathCoreLibとして公開した。本科研費主催の国際ワークショップiWAPTは5回目を迎え、米国バークレーで開かれた。これまでの研究成果、国際研究協力の成果をまとめて英文書籍Software Automatic Tuning : From Concepts to the State-of-the-Art Resultsとし、Springerから出版した。日本応用数理学会の会誌である「応用数理」の2010年9月号と12月号が「自動チューニング」の特集となり、代表者、連携研究者も多く執筆した。これらにより、自動チューニング技術を国内外に発信し、理解を広めた。
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