研究概要 |
本年度の主な研究成果は,以下の2点にまとめられる. 1)昨年度までに構築したグリッド向けGAフレームワーク/実行環境(Grid-Oriented GA Platform ; GOGAP)を構成する4つのモジュールのうち,グリッド固有のプログラミングの煩雑さを隠蔽して並列プログラミングを容易にするためのJSGF (Java-based Simple Grid Framework)の問題点を克服したJSGF2を提案した.JSGF2では,JSGFの実装効率の問題点を克服するため,Javaプログラマになじみの深いスレッド,オブジェクト,メソッドコールの概念を分散環境に拡張したリモートスレッド,リモートオブジェクト,リモートメソッドコールを用いて並列システムをモデル化するプログラミングモデルを採用している.また,GAにおいて頻繁に用いられるマスタ・ワーカモデルもサポートしている.また,実行効率の問題点を克服するため,リモートメソッドコールはすべて非同期に行われるようになっている. 2)昨年度までにGOGAP上に構築した社会シミュレーション用フレームワークSOMASの拡張を行った.従来のSOMASでサポートされていた順シミュレーション手法,逆シミュレーション手法,モデル選択手法に加えて,本年度は,パターン指向逆シミュレーション(Patten-oriented Inverse Simulation ; PIS)を提案し,SOMASで利用できるように実装した.PISは,生態学におけるパターン指向モデリング(Pattern-Oriented Modeling ; POM)の考え方を,エージェントシミュレーションにおける逆シミュレーションに導入したものである.SOMAS上に実装されたPISを,歴史シミュレーションに適用することにより,その有用性の検証を行った.
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