研究概要 |
今年度は,以下の内容について研究を実施した. (1) 曖昧な位置情報に基づく空間データベース問合せ:センサなどから取得される曖昧な位置情報に基づき,空間データベースを問合せするための問合せ処理技術を開発した.曖昧性がガウス分布に従うことを前提としており,最終的に必要となるガウス分布の数値積分のコストが高いことから,積分対象をうまく絞り込むための技術を開発した. (2) センサデータベースからのパターンマイニングに関する研究:センサにより取得されたユーザなどの位置シーケンスの履歴から,パターンを検出するための一種のデータマイニングのアプローチについて検討を進めた.従来のデータマイニングにおけるシーケンスマイニングのアプローチと,曖昧な位置情報に関する確率的なモデルの組合せが重要なポイントとなった. (3) 空間情報サービスのためのプライバシー保護技術の開発:モバイル環境において,ユーザがその位置に応じたサービスを受けるようなアプリケーションが現れている.しかし,ユーザの位置情報がアプリケーションサーバに対して公開されてしまっては,ユーザのプライバシーが必ずしも保護できないという問題がある.そのため,本研究では,ユーザのプライバシーをある程度保護しつつ,十分なサービスが得られるようにするための,位置情報の匿名化技術の開発を進めた. (4) 分散環境における空間データベース問合せ処理:今日着目を浴びているクラウドコンピューティングにおいては,大規模なデータを多数のコンピュータで分散実行する分散コンピューティングの技術が駆使されている.本研究では,特に空間データ(地図データなど)を対象としたアプリケーションをクラウド環境で実行処理するためのアプローチについて研究を進めた.
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