研究概要 |
本研究では,行動センシング,つまり各種センサ機器を用いて現実世界における人間の行動を理解する技術において,1.人間の行動を高精度に判別し,有用な客観的知識を得ること,および2.要求される程度に応じて対象者の個人情報を保護すること,を両立するための基盤技術を研究する.本年度は以下を行った. 1. センシングにおける個人情報保護の定量化 2. 個人情報を守るセンシングシステムの高速化 3. 携帯情報端末を用いた行動情報収集システム 4. ドメイン特化型行動センシング開発言語 1については,最も単純なセンシングであるRFID (Radio Frequency IDentification)データの個人情報保護については,LKC-privacyという概念が提案されているが,人が複数のRFIDタグを持つ場合を考慮していない.我々はそのような場合のために拡張を行い,既存モデルとの互換性を示した.2.について,個人情報を守るセンシングシステムの一つであるハッシュチェインRFIDは,サーバ側での逆計算に時間がかかる.我々はd-Leftハッシュを用いて効率的に事前計算し適宜更新する方式を提案し,採択率9%のACM Wisec国際会議に採択された.3について,利用者があらかじめ行動内容を指定し3軸加速度データを蓄積することにより,機械学習のための行動情報収集システムを開発した.4について.行動センシング応用には,幅広い技術と試行が必要となる.そこで我々は,ドメイン特化型開発を導入し,サーバから無線センサデバイス上のソフトウェアまで含めたアプリケーションを生成可能なグラフィカル形式の開発言語を実現した.
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