研究概要 |
(1)会話参加態度推定機能を持つ会話エージェントの評価 前年度に完成した会話エージェントシステムの評価を行った.本システムは,ユーザの会話関心度を推定しながら会話をすすめ,関心が低下した時には,「何か質問はありますか」,「次の話題に移りますか」といった問いかけを行うことができる.主観評価に加え,客観的な行動指標として,ユーザの会話関心低下の発生頻度,エージェントの問いかけをきっかけとしたユーザの質問行動の頻度を計測した.その結果,会話参加態度推定機能を有する会話エージェントとインタラクションする場合において被験者の会話関心低下の頻度は減少し,また,エージェントの問いかけをきっかけにシステムに質問する頻度は上昇した.これは,適切なタイミングでの問いかけはユーザの会話関心低下を防ぎ,ユーザの発話を促す効果を持つことを示唆する結果である. (2)参与構造の推定に向けた多人数会話コーパスの収集とその基礎的分析 多人数対話コーパスを収集するために,3~4名の被験者とWizard-of-Ozエージェントとの会話を実施し,音声データに加え,モーションキャプチャシステムを用いて,被験者の頭部と上半身の動作データを収集した.まず,頭部と上半身の動きから,誰が誰の方向を向いているかを推定し,各被験者の注視方向のアノテーションを自動で行った.次に,この自動アノテーションの妥当性を検証するために,基礎的な分析を行った.その結果,人手のアノテーションによるビデオ分析の結果と一致し,注視相手の自動アノテーションの妥当性を裏付けるものであり,会話参与構造の自動推定において頭部と上半身の動作データを利用することの有用性,妥当性を確認した。
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