平成21年度は、人間がセンサを持ち運ぶ場合と、センサを設置して自動的に情報を収集する場合を対象にして、下記の課題に取り組んだ。 ・携帯電話センシング基盤の確立 ・無線センサ杭を用いた斜面崩壊災害検出システム 携帯電話センシング基盤の確立については、各種の人間自身によるセンシン基盤として靴や自転車にセンサを取り付けた研究を開始した。これらの獲得されるセンサデータ情報をアップロードする携帯電話センシングについては、複数のセンサ付き携帯電話による協調センシング機構を開発した。この協調センシング機構では、利用者全体の携帯電話の消費電力を抑制するために、周囲にいる人数に応じて、センシングと携帯電話網によるアップロードの頻度を変更するものである。プロトタイプ機では、IEEE802.15.4により、周囲に存在する携帯電話機の台数を読み取ることとした。本協調センシング機構を、プロトタイプ機で動作させ、消費電力抑制に有効であることを確認した。 無線センサ杭を用いた斜面崩壊災害検出システムにおいては、近年、我が国では気候変動による斜面崩壊現象の増加によって甚大な土砂災害被害を被っている。斜面崩壊現象には複雑な要因があり、斜面の観測計器も様々なものが用いられている。しかし、設置が大掛かりであったり、リアルタイムに観測することが難しかったりするなどの問題がある。斜面に手軽に挿入できる杭に無線通信機能を有するマルチセンサを組み込み、斜面崩壊災害を検出するシステムを構築した。仮想的な斜面崩壊実験を行い、加速度より斜面崩壊時の杭の挙動を検出した。
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