公募研究
本研究では、生物起源気体の一種であるジメチルサルファイド(DMS)及びその前駆物質であるジメチルスルフォプロピオネイト(DMSP)の海水中での変換、分解に関わる海洋細菌群集の主要代謝遺伝子について、その時空間的な分布と発現量の変動パターンを明らかにすることを目的とした。相模湾等から分離した環境株を用いて、DMSP変換遺伝子保有細菌の探索を行った。複数の対象遺伝子のうち、DMSPリアーゼによるDMSへの直接的変換に関わるdddL遺伝子、アシルコエンザイムとの結合を経てDMSへ開裂する変換に関わるdddD遺伝子及びdddR遺伝子について、その保有細菌の探索を行った。いずれも、既報のプライマーセットを用いて、145株のPCR増幅によるスクリーニングを行ったが、dddD遺伝子についてのみ、4株から増幅産物が得られた。これら増幅産物の配列を決定後、相同性検索を行ったが、dddD遺伝子の登録データが少なく特定できなかった。これらの株を用いたDMS生成実験による確認が必要と考えられる。他の遺伝子に関しては、さらにPCR増幅条件の検討が必要と考えられた。また、南大洋におけるDMSP分解実験で得られた環境試料について、dddD遺伝子のPCRによる検出を行い、適当なサイズの増幅産物が得られたが、増幅量が少なくさらに詳しい解析が出来なかった。今後、プライマーセットも含めたPCR増幅条件の検討が必要と考えられた。
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Microbes and Environments 24
ページ: 315-321
ページ: 297-304