研究概要 |
海洋環境の雲、エアロゾルは放射収支の影響を与え、海洋中の生物の生育環境に影響を与えている。 また、海洋中の植物プランクトンの排出物質がエアロゾルになるなど、海洋の大気、海洋環境は互いに密接に影響を及ぼしあっている。海洋大気環境を理解するためには広範囲にわたって雲やエアロゾルの3次元分布を調べる必要があるが、広範囲に調べられるのは衛星による観測に限られ、また衛星観測でも鉛直方向の分解能は十分でないことも多い。鉛直分布を広範囲に調べるためにはリモートセンシング(ライダー)が必要である。本研究では気球にライダーを積み飛翔させて、成層圏下部から対流圏にわたって海洋上空の雲、エアロゾル分布の鉛直構造と植物プランクトンを同時に観測し、それらの相関を調べる。エアロゾル分布は355nm光の散乱を観測することで得られ、植物プランクトンはその中に含まれるクロロフィルからの蛍光が440nm付近に出てくることを利用して検出する。 Nd:YAGレーザーの3倍高調波(355nm,0.3mJ/pulse)を30~40kmの高度を飛翔する気球から真下に発射し、大気中、海洋表層での散乱光、反射光を25cm望遠鏡で受光する。光は355nm(P,S),404nm,440nmのNarrow bandフィルターを通して光電子像倍管で検出する。光子計数法で散乱光強度の時間変化を記録することで大気中のエアロゾルの高度分布、海洋中有機物分布の取得を行う。本年度は実験室中で光学系を組み、355nmのレーザー光をクロロフィル水溶液に照射し蛍光スペクトルを確認した。
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