これまでに超高分子量ブロック準希薄溶液中で形成するミクロ相分離構造を用いて、可視光領域にフォトニックバンドギャップを持つフォトニック結晶の創製に成功している。「分化誘導貧溶媒」または強い選択溶媒を加える事でミクロ相分離が誘記されることやモルホロジーが変化する事はわかっていた。しかしながら、その溶媒の空間分布と構造との関係は令まで実験的に実証されておらず、詳しい定量的な評価は行われてこなかった。初年度は中性子散乱のコントラストバリエーション法を用いて各相の組成を明らかにした。また、選択溶媒添加に伴う、秩序-秩序転移をレオロジー法を用いて観察した。 中性子散乱測定法によるコントラストバリエーション実験の結果、散乱強度だけが変化し、そのprofileの形には違いが見られなかった。これらの散乱強度比から各相の組成を求めた結果、いずれの水濃度でもPtBuMA相にTHFが多く存存していた。水濃度が増えるとPS相中の固形分分率はさらに高くなり、脱膨潤が進んがことが分かつた。以上のことからTHFがPtBuMA相に水と共に引き込まれている事が実験的に実証できた。溶液の動的粘弾性測定を行った。高周波数域(w>10)に大きた緩和、中間に平たん部、低周波数域(w~0.01)で緩和が始まっていた。平たん部は、ひずみ依存性が強く、格子等の構造由来の緩和と思われる。ひずみ1%程度から、弾性率(みかけの弾性率)が下がっている。普通の高分子より非線形性が強めで、いわゆる分散系に近い結果である。平坦部における周波数に対するベキの変化から、水濃度変化によりラメラ、ギロイド、シリンダーと構造転移するとともにベキも大きく変化していることが分かった。
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