代表的なイオン液体である1-butyl-3-methylimidazolium chloride(BmimCl)を溶媒として、H_2OおよびH_2O/LiCl溶液の粘度の温度依存性を測定した。Vogel-Fulcherタイプの温度依存性が見られたので、現在急冷試料のDSC測定を行っている。今のところ粘度の温度依存性から求めたガラス転移温度と関連する基準温度と、DSCの結果に大きな矛盾は無く、LiClの添加でガラス転移温度が上昇することが確認できている。BmimClと水(H_2O)ならびに重水(D_2O)、エタノール(EtOH)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を混合し、粘度と密度を主に25℃で広い組成範囲にわたって測定した。密度の組成依存性からBmimClの部分モル体積を求めた。その組成依存性はモル分率の低下にともなって、はじめはごく緩やかに減少し、BmimClのモル分率が0.4以下では急激に減少する。そして0.1以下では水との混合系ではほぼ一定、その他の液体との混合系では減少し続けることが見出された。これらの混合溶液に対するセルロースの溶解試験を行ったところ、下限濃度は明確ではないが、BmimClの部分モル体積がほぼ一定の領域でどの系にも可溶であった。希薄なBmimClの水溶液ならびに有機溶媒溶液の粘度には大きな違いが見られ、構造の違いがあると考えられたので、希薄なBmimClの水溶液ならびに有機溶媒溶液の誘電緩和測定を行ったところ、0.1以下ではBmimClに水が比例的に配位するが有機溶媒ではそうならないことが見出された。
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