研究領域 | 窒化物光半導体のフロンティア-材料潜在能力の極限発現- |
研究課題/領域番号 |
21016004
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
|
研究分担者 |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
江村 修一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90127192)
周 逸凱 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60346179)
|
キーワード | 窒化物半導体 / スピンエレクトロニクス / 光物性 / 結晶工学 / MBE |
研究概要 |
長波長での円偏光半導体レーザを創製することを狙いとして、希土類金属Gdを添加したIII族窒化物希薄磁性半導体を分子線エピタキシ(MBE)法により成長し、各種の評価を行った。21年度は次のような研究成果を得た。 (1) InGaNにGdを添加したInGaGdNについて詳細な成長条件を検討し、InGaGdNの成長に成功した。室温でフォトルミネセンス(PL)発光が観測され、PLピーク波長はIn組成の増加に対応した長波長シフトした。InGaGdNからは室温で強磁性が観測された。 (2) InGaN/GaGdN多重量子井戸(MQW)構造を成長した。バリア層に磁性原子Gdを添加したこの構造では、キャリアが強磁性層(GaGdN)から非磁性層(InGaN)へ移動するためにキャリア誘起強磁性の抑制が起こり、GaGdN単層より小さな磁気モーメントとなることが分かった。 (3) GaGdN/AlGaN MQW構造では、キャリア誘起強磁性によりGaGdN単層よりも大きな磁気モーメントが観測された。GaGdN/AlGaN MQW構造のPL発光ピークには、磁場中で大きなレッドシフト(7テスラで15meV)が観測された。これに対し磁性原子を含まないGaN/AlGaN MQW構造では、ほとんどレッドシフトは観測されていない(1meV以下)。大きなレッドシフトは有効内部磁場による大きなゼーマン分裂によるものと考えられる。さらに、GaN/AlGaN MQWに比べ、10KでのPL発光ピークが長波長化している、温度上昇に伴うレッドシフト量が大きい、PL寿命が長くなっているなど、磁気ポーラロンの存在を示唆する結果が得られた。
|