公募研究
マイクロ波加熱が化学反応に初めて応用されてから20年以上経った。これまでにマイクロ波加熱を用いた化学反応では通常加熱と比べて、反応時間の短縮、高収率、高選択性など、多くのマイクロ波加熱特有の特殊効果が報告されて来た。これらの特徴のうち、単にマイクロ波照射による加熱作用から来る効果以外の効果を非熱的効果と呼ぶ。しかし、これらの特殊効果の機構はまだ解明されていない。不均一系でのマイクロ波加熱では、マイクロ波吸収能の高い固体を用いることで、非平衡局所加熱、つまり固体表面が周りのバルクの温度より高温になる現象が期待できる。本研究では、マイクロ波吸収能の異なる固体を用いた有機化学反応について、マイクロ波加熱、油浴による通常加熱で反応を比較した。デカリン中に、マイクロ波吸収能の高いFe_3O_4とマイクロ波吸収能の高いC担体としたPd/Cを用いてマイクロ波加熱と油浴による通常加熱での活性の影響を比較した。実験の結果、Fe_3O_4を用いた反応ではマイクロ波加熱の方が高い転化率が得られたが、Pd/Cを用いた反応では差が見られなかった。これより、反応物である固体が、マイクロ波により選択的に加熱され反応が促進されたと考えられる。
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