平成21年度は、マイクロ波照射下で加熱発泡する含水ガラスの作製と含水挙動の解明と含水ガラス中の水の溶存形態の調査、ならびに含水ガラスの誘電特性の調査を実施した。先ず、試料部と純水部の2温度帯を設けて相対湿度を制御可能なオートクレーブを新規に製作して、不飽和水蒸気中でのガラスの水熱反応を可能にした。ガラスのネットワーク修飾成分のNa_2O濃度を変えたソーダシリカガラスの水熱処理を行った結果、Na_2O濃度の低下に伴い含水量は増加した。さらにIR測定により、ガラス中の水の溶存形態は分子状H_2OとシラノールSiOHによるものであり、Na_20濃度の低下による含水量の増加はガラスネットワークと水の反応によりシラノールが多く形成されることによることが分かった。また含水ガラスの誘電率は、相対的に分子状H_2Oの多い高Na_2Oガラスがより大きい傾向にあり、含水ガラス中にて分子状H_2Oがマイクロ波と強く相互作用することを見出した。以上により、ガラスのネットワーク構造とH_2Oの相互作用の観点から、含水ガラス中の含水量ならびに誘電特性の制御指針が明らかになり、マイクロ波非加熱特性に優れた含水ガラスの作製が可能となった。この指針に基づき15mass%の水を含有した含水ガラスを作製して、2.45GHz、500Wにてマイクロ波照射に供したところ、ガラスは10倍以上の体積膨張を示し、多孔質ガラスが得られた。よってマイクロ波照射により加熱発泡する含水ガラスの作製を達成した。
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