ガンマ線バーストは宇宙最大の高エネルギー現象であるが、そのエネルギー輻射メカニズムはまだ解明されていない。現在ファイヤーボールモデルという理論が有力であるが、その理論に従えば、ガンマ線バーストからやってくる硬X線は強く偏光するはずである。また幾つものガンマ線バーストに対して偏光度を測定すれば、詳細に輻射メカニズムを研究することができるため、本研究では衛星搭載用のガンマ線バースト偏光度検出器の基礎設計を行い、その性能を調べた。 研究代表者が設計中の検出器はセグメント化されたプラスチックシンチレーターとCsI(T1)シンチレーターでできた検出器であり、コンプトン散乱を利用した検出器である。ガンマ線バースト用検出器の場合、開口角を広く取る必要があるが、斜めから入射したガンマ線の場合、偏光を有意に測定できないと考えられていた。しかし、自分は本研究を通じて、斜めからガンマ線が入射した場合でも、偏光情報を取得できるような解析方法を発見した。この方法を使った場合、今回設計した検出器では、もし40%程度ガンマ線バーストが偏光しているのであれぼ、5年間程度の観測で100発のガンマ線バーストの偏光を有意に測定できるという結果が得られた。また以上のシミュレーションと同時に、CsI(T1)からの光読み出しの基礎実験も行った。その結果、フォトダイオードでは数10keVのエネルギーを読み出すことはできないが、アバランシフォトダイオードであれば、読み出しが可能であるという実験結果が得られた。
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